ハードメイプル|樹種物語 | フローリング総合研究所
Hard Maple
2019.03.02

ハードメイプル

texture:ハードメイプル
map:ハードメイプル
名称:
ハードメイプル
分類:
温帯広葉樹・カエデ科
産地:
北アメリカ

ハードメイプルは、五大湖周辺のカナダ東部およびアメリカ中西部から北東部にかけて広く分布する樹種です。冬の厳しい寒さや雪の加重にも耐え生長するハードメープルは、衝撃や摩擦に強い木材に育ちます。樹液が甘いことから日本ではサトウカエデというような呼び名で呼ばれています。

天然木ならではの趣を与えるキャラクター

  • バークポケット

  • ノット・ピンノット

  • シュガーマーク

  • カーリー杢(縮み杢)

  • バーズアイ

キツツキ/バークポケット

光合成によって作り出した養分を使い、枝を伸ばして葉を茂らせながら成長する樹木。その過程で枝の付け根が幹に包み込まれると「節」ができます。ときには、鳥や動物などがやってきて樹皮を傷つけることも。木が傷ついた部分の樹皮を樹体内部にとり込むと、「バークポケット」と呼ばれる痕跡になります。こうした刻印は、樹木が重ねてきた生の証と言えます。

シュガーマーク/メイプルシロップ

ハードメイプルは、別名シュガーメイプル。ローカロリーでミネラル豊富な自然の甘味料・メイプルシロップの原料となる樹液が採れる木です。 冬の寒さに備えるため、シュガーメイプルは夏の間にでんぷんを蓄えています。そのでんぷんが、やがて糖分へと変質。雪解け水が流れ出す頃になるとミネラルをたっぷり含んだ水分を吸い上げるので、そこに糖分が溶け込んで樹液が甘くなります。
樹液を採取できるのは、寒暖の差がもっとも大きくなる2月から4月のわずか2、3週間だけ。木に穴を開け、取り出し口をつけることから始まります。かつてはそこにバケツを下げていたようですが、最近ではチューブを取り付けて「シュガーハウス」と呼ばれる小屋のタンクに集める方法が主流なのだそう。こうして集めた樹液を煮詰めれば、メイプルシロップのできあがりです。
シュガーメイプル、つまりハードメイプルを木材にすると、メイプルシロップを採った跡が筋や点になった色変わりとして現れます。

ダンスホール

ハードメイプルは固く粘りがあって衝撃にも強いことから、ボーリング場のレーンやバスケットボールのコートなどに使われています。ダンスホールの床材にも用いられていたのは、もしかすると原産地である五大湖の沿岸に大都市・シカゴがあったことと関係しているかもしれません。シカゴはジャズやブルースのメッカであり、ダンス文化が大いに発展した街として知られています。ご機嫌な夜にはシカゴの熱気に思いを馳せながら、ハードメイプルの床材のうえでダンスを楽しんでみてはいかがでしょうか。

バット

硬式野球のバットといえばメイプル材が主流。かつては青ダモやホワイトアッシュなどが使われていましたが、最近ではあまり見かけなくなりました。
メイプルのバットを一躍有名にしたのは、元メジャーリーガーのホームランバッターであるバリー・ボンズ。2000年ごろから使い始め、2001年の73号ホームランがメイプルを人気にする決定打となりました。今や、メイプル以外のバットを使うプロ選手はほとんどいないというほどです。

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