無垢フローリングと複合フローリングの違いを徹底解説
家を建てる際やリフォームするとき、床材として多くの方に選ばれている、木質のフローリング。木質のフローリングには、いくつか種類があり、それぞれにメリットやデメリットがあります。これから家を建てる方やリフォームされる方にとっては、どのフローリングを選ぶべきなのか悩みますよね。
最初にフローリングの「無垢フローリング」と「複合フローリング」の2種類についてご紹介します。
フローリングの種類 その①「無垢フローリング」
無垢フローリングとは、天然木100%の板で他の木材が混ざっていない、無垢材を使った床材のことです。
無垢フローリングに使われている素材は、パイン材・ヒノキ・スギ・桐・オーク・ウォルナットなどがあります。自然塗料などで仕上げたものは、天然木独特の芳香があり、手触りがよいという特徴があります。
時間が経過すると徐々にその表情を変えるので、長年にわたって風合いを楽しめるのも無垢フローリングの魅力といえるでしょう。
ただし、天然木を100%使用しているため、デメリットは木の種類によっては柔らかく傷つきやすい、割れやねじれ、反りが起こりやすいという特徴があります。そのため、床暖房に使えないものが多く、無垢フローリングは定期的なメンテナンスが必要です。また、「無垢」と聞くと高級なイメージですが、木の種類や材料のグレード、サイズなど幅広く、価格帯もピンからキリまであります。
フローリングの種類 その②「複合フローリング」
複合フローリングとは、無垢フローリングより一般的に使われていて、合板などの基材の表面に、化粧材を貼り合わせた床材のことです。
複合フローリングは、表面にオークやウォルナットなどさまざまな種類の突き板や挽き板が使用されていて、膨張や伸縮が少なく温度や湿度の変化に強い特徴があり、割れやねじれ、反りが起こりにくいので、床暖房に使えるものが多いです。さらに、キズに強く家のさまざまな場所の床材に使用できます。戸建て用、マンション用、水回り用、床暖房用など用途別に種類があるのも複合フローリングの特徴です。
用途や木の種類、インテリアイメージから複合フローリングを選ぶことができます。
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複合フローリングには
「挽き板」と「突き板」と「シート」があります
複合フローリングは、表面の化粧材によって「挽き板」と「突き板」と「シート」の3種類に分けられます。
挽き板
挽き板とは、天然木をのこぎりで2㎜程度の厚みに挽いたものを言い、その挽き板を基材に貼り合わせたフローリングのことを指します。挽き板は、表面材に厚みがあるため、無垢材と同じ質感です。基材に合板を使用していますので、反りやゆがみなどが起こりにくいです。
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突き板
突き板とは、木材を0.3~1㎜程度の厚さにナイフで突いた(=スライスした)ものを言い、その「突き板」を基材に貼り合わせたフローリングのことです。
使用する天然木は、オーク、ウォルナット、メイプルなど、種類はさまざまです。天然木の風合いを感じられ、機能性と手頃な価格帯が魅力です。
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シート
シートは、オレフィンなどの樹脂や紙などに木目模様をプリントしたシートを基材に貼り合わせたフローリングのことです。
表面がシートなのでお手入れもしやすく、天然木に比べ安価なものが多いです。しかし、木目をプリントしているため、天然木ならではの経年の変化による風合いを楽しむことはできません。
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フローリングのグレードと特徴
国内メーカーが販売しているフローリングは日本農林規格(JAS)の分類もありますが、一般的には構成と化粧材の種類によって分けられます。天然木の「無垢」「挽き板」「突き板」と樹脂や紙でできた「シート」と4つのグレードがあり、「木質感」「お手入れ・補修のしやすさ」「寸法安定性」「傷への強さ」もそれぞれの種類によって、特性が異なっています。
これらのグレードと特徴を下のマトリクス図にまとめていますので、フローリング選びの参考にしてください。
無垢 | 挽き板 | 突き板 | シート | |
---|---|---|---|---|
断面構成 | ||||
木質感 | ◎ | ◎ | ○ | × |
木そのものの風合いやぬくもり、また天然木ならではの経年変化を楽しめる。 | 無垢同様に、木そのものの風合いやぬくもり、また天然木ならではの経年変化を楽しめる。 | 無垢、挽き板には及ばないが、木そのものの風合いや天然木ならではの経年変化を楽しめる。 | 木目柄は精巧に再現されていても、天然木ならではの風合いや経年変化の味は楽しめない。 | |
お手入れ ・補修の しやすさ | × | ○ | ○ | △ |
オイル仕上げの場合は、定期的な塗り直しが必要。又、水ジミ注意。 | ウレタン塗装の場合は、水拭きや専用クリーナーでのメンテナンスが可能。 | 基本的にはウレタン塗装のため、水拭きや専用クリーナーでのメンテナンスが可能。 | 表面はシートなので、水拭きでのメンテナンスが可能。表面が一度はがれてしまうと補修は困難。 | |
寸法安定性 (床暖房対応) | × | ○ | ○ | ○ |
湿度変化による伸縮が大きい。乾燥時の隙、湿潤時の突き上げが生じやすい。床暖房には基本的に不向き。 | 合板等の基材と複合しているので比較的安定している。床暖房にも問題なく対応できるものが多い。 | 合板等の基材と複合しているので安定している。床暖房にも問題なく対応できるものが多い。 | 合板等の基材と複合しているので安定している。床暖房にも問題なく対応できるものが多い。 | |
傷への強さ | △ | △ | ○ | ○ |
木そのものなので、傷のつきやすさはその木の硬さに依存し、樹種によっては凹み傷などがつきやすい。 | 化粧面の木の厚みがあるので、傷のつきやすさはその木の硬さに依存し、樹種によっては凹み傷などがつきやすい。 | ある程度グレードの高い製品は基材に硬質な素材を複合することで傷をつきにくくしているものが多い。 | ある程度グレードの高い製品は基材に硬質な素材を複合することで傷をつきにくくしているものが多い。 |
人気の樹種ランキング
1位:オーク
分類:温帯広葉樹・ブナ科
産地:北アメリカ、ロシア、ヨーロッパなど
オークはブナ科に分類され、オークに含まれるものだけでも数百以上あるといわれている。その中でもヨーロピアンオークと呼ばれるオークが代表格です。大きなものでも25mから最大40mに達するものあり、秋には私 たちにも馴染みのあるドングリをつけます。 ヨーロピアンオークでは現在樹齢1500年のものが確認されています。
2位:ブラックウォルナット
分類:温帯広葉樹・クルミ科
産地:北アメリカ
ブラックウォルナットはクルミ科に分類され、樹高は8〜20mに及びます。ヨーロッパ一帯、北アメリカに分布し、皆さんがよく知るクルミの実をつけます。チークやマホガニーと共に世界三大銘木の一つとされています。名前にあるとおり、木材にするとチョコレートのような深い色合いをしています。
3位:ハードメイプル
分類:温帯広葉樹・カエデ科
産地:北アメリカ
ハードメイプルは、五大湖周辺のカナダ東部およびアメリカ中西部から北東部にかけて広く分布する樹種です。冬の厳しい寒さや雪の加重にも耐え生長するハードメープルは、衝撃や摩擦に強い木材に育ちます。樹液が甘いことから日本ではサトウカエデというような呼び名で呼ばれています。
4位:ブラックチェリー
分類:温帯広葉樹・バラ科
産地:北アメリカ
ブラックチェリーはバラ科に分類され、樹高は15〜20m前後から大きいもので30mに達し、温暖な地域に幅広く分布する樹種です。名前にチェリーがあるようにブラックチェリーは実をつける果樹。私たちのよく知るサクランボに比べ、黒みの強い赤い実をつけます。
5位:アッシュ
分類:温帯広葉樹・モクセイ科
産地:北東アジア
北アメリカに生育するアッシュはホワイトアッシュと呼ばれており、樹高は18〜24mほどに育ちます。河川や渓谷に隣接した湿潤な土壌に他の広葉樹とともに生育します。水はけが良く斜面に自生することが多いのが特徴。葉の裏に白い粉がたくさん付いているため、ホワイトアッシュと呼ばれている。
おわりに
無垢フローリングには、天然木の自然の香りなどを楽しめるメリットがあります。しかし、伸縮が大きいため、床暖房を使用するには注意が必要です。一方で、複合フローリングには安定性が高く、ケアが楽というメリットがあります。さらに、表面の素材も「挽き板」「突き板」「シート」と分かれていますので、フローリングはそれぞれの種類の特徴を理解し、場所や目的に合わせて選ぶとよいでしょう。
フローリング選びを迷われている方はこちらを参考にしてみてください。
>プロがおすすめする 『失敗しないフローリングの選び方』