天然木ならではの趣を与えるキャラクター
ノット・ピンノット
ガムポケット
多様な木目
経年変化
照りの表情
ニューイングランドマホガニー
18世紀後半から19世紀にかけて、マザー・アン・リーをリーダーとして活動していたキリスト教の一派・シェーカー教。ニューイングランド地方で自給自足の暮らしをするシェーカー教徒が手がけた家具は「シェーカー家具」と呼ばれ、現在でも広く愛好されています。彼らがとくに好んで使っていたのがブラックチェリー。時を経るごとに深みを増す優美な色合いは最高級の材・マホガニーにも匹敵するとして、シェーカー家具の職人たちは「ニューイングランドマホガニー」と呼んでいたそうです。
経年変化
バブル全盛期、カバ材をはじめとする多くの国産材が家具づくりに消費され、なくなりかけていました。そんなときに輸入された木材のひとつがブラックチェリー。時間が経つにつれて黒光りし始め、当初の印象と変わってくるという特性は、無垢で使う場合あまり好まれなかったようです。ところが突板にしてみたところ程よく美しい飴色を持続することがわかり、家具やフローリングなどに用いられるようになりました。
使っているうちに色が変わるのは、自然の木を使うのであれば当然のこと。なかでもブラックチェリーの場合は次第に濃くなっていく飴色が深みとなり、同じ部屋に置かれる家具の変化とも同調してインテリアのバランスを保ってくれます。
ハンス J. ウェグナー
デンマークの家具デザイナーであるハンス J. ウェグナーは、中国・明代の椅子に自らのデザインモチーフを見出し、1943年に「チャイニーズチェア」を発表しました。それ以来リ・デザインを繰り返しながら、自らのスタイルを確立。1949年には、家具メーカーのカール・ハンセン&サン社の依頼を受けて、「ウィッシュボーンチェア」と呼ばれる椅子をデザインします。「Yチェア」という愛称でも知られるこの作品は、チェリーやオークなどの木材をエレガントに加工したY字型の背もたれが特徴。快適かつ魅力的なダイニングチェアとして世界中の注目を集めました。現在に至るまで、60年以上にわたり作り続けられています。
ガムポケット
ブラックチェリーの特徴であるガムポケットは、もともと「やにだまり」や「やにつぼ」、「かなぐい」などと呼ばれていました。その名前が示すように、樹脂が木目の間に溜まってしまう状態のことです。かつては板材としてカットする際に避けておくのが一般的でしたが、合板の突板(表面に張る板)として柾目で使うとおさまりがよく、目につくほどの広がりにはならないことから、最近ではあまり気にされなくなってきています。とくに色の濃いブラックチェリーの場合はガムポケットがそれほど強く出ないため、樹種本来がもつ自然な風合いに。意匠のアクセントとして活かされています。