天然木ならではの趣を与えるキャラクター
ノット・ピンノット
バークポケット
フェイルズ・ハートウッド
ミネラルストリーク
虎斑(シルバーグレイン)
手つかずの生態系の象徴
日本では「ビーチ」よりも「ブナ」という呼称のほうが馴染み深いのではないでしょうか。日本海側の冷温帯に広がるブナ林は「原生林の象徴」といわれています。 草木が一本も生えていない土地があったとすると、まず繁殖するのはコケや地衣類です。それがやがて草原となり、土壌が豊かになってくると樹木が生え始めます。このときに生い茂るのは、乾燥に強く日差しを好む「陽樹」が中心。シラカバやアカマツ、コナラなどが有名です。しかし、陽樹が大きくなるにつれて地表には光が届きにくくなってきます。そこで台頭してくるのが、幼木のうちは日照量の少ない環境でも育つことのできる「陰樹」。エゾマツやタブノキ、そしてブナがこのなかに含まれます。
陰樹が丈高く伸びてからは、それまでのように土地の中心となる植物が入れ替わることはありません。つまり、ブナをはじめとする陰樹の森は、人間の伐採を受けることなく数百年続いてきた原生林なのです。
魔法の木
ケルト人にとって、樹木や森はとても神聖な存在でした。そのなかでもビーチは「未知なるもの」を意味するとともに、古いものの終焉と新しいものの始まりを象徴しているのだとか。こうしたイメージの形成には、冬になると葉を落とし、春にまた復活する落葉樹の特性が関係していたのかもしれません。ビーチはまた、災いから保護する目的でも使われていたのだそう。床材をビーチにすれば、魔除けの効果があるかもしれませんね。
ベントウッドチェア
「ベントウッドチェア」を知っていますか?優雅なラインを描く、曲げ木を使った椅子のことです。
曲げ木の技術は、ドイツ出身の家具職人であるミヒャエル・トーネットが1830年代から開発を始めました。やがて、蒸気の力で木材を柔らかくし、金属の型枠にはめて曲線に成形する方法を確立。1859年には現在でも作り続けられているベントウッドチェアの代表作「No.14」が完成します。フォルムを単純化し、さらにパーツを6つに分解できるノックダウン方式を採用したことで、大量生産化にも成功しました。 この曲げ木家具に最も適していた木材がビーチです。トーネットの家具の人気が高まるにつれて工場を増設した際には、良質なビーチの産地であるチェコのコリッチャヌイが建設地に選ばれました。
森の女王
ビーチは保水能力が非常に高く、また何年にもわたり降り積もった落ち葉がスポンジ状になって雪や雨水を蓄えることから、「緑のダム」と呼ばれています。水の恵みをもたらしてくれるうえに、その果実はタンパク質や脂肪分が豊富。人間が食べるだけでなく、リスやクマといった森の動物たちにとっても重要な栄養源です。こうした特性が、慈悲深く気高い存在に映るのでしょうか。イギリスでは「森の王」とされるオークに並び、「森の女王」を称されています。