天然木ならではの趣を与えるキャラクター
材色を活かした濃淡の縞模様
節目と通直な繊維が生む素材感
節部分の凹み
材色の濃淡
色合いのひろがり
多用途な樹種
ほかの木材に比べて非常に速いスピードで成長する竹は、古くからカゴやザル、衣類に建材、水道管、ひしゃく、傘といった多様なものに加工されてきました。鉄が不足した戦時中には、「竹筋コンクリート」として鉄筋の代替にもされたといいます。その丈夫さと柔軟なしなり、加工のしやすさは、昔も今も日本人の暮らしに欠かせないもの。たけかんむりのつく漢字が常用漢字だけでも25種類と数多くあるのは、それだけ身近な存在だったということの証ではないでしょうか。
孟宗山
孟宗は中国三国時代、呉の国の人。彼には病に伏せる母親がいました。その母親があるとき「タケノコを食べたい」と言い出しますが、あいにくなことに季節は冬。孝行息子の孟宗がいくら竹林を探しても生えているはずはなく、涙を流して祈るしかありません。するとその祈りが天に通じたのか、突然あたりの雪が溶け始めて一面にタケノコが顔を出し始めました。喜んだ孟宗がそれを持ち帰って母親に食べさせたところ、病はたちまちのうちに癒えたということです。 「孟宗竹」という名前は、この故事に由来するといわれています。
さて、京都の祇園祭はさまざまな故事や伝承に基づく山鉾が巡行することで有名ですが、そのなかのひとつに「孟宗山」があります。シンボルとなる人形はもちろん、鍬とタケノコを手にした孟宗。笠に積もった純白の雪の表現が、真夏の都大路によく映えます。
すべて同じクローン
竹林は一本一本が独立しているわけではなく、地下茎という地中の茎でつながっています。春先にひょっこり顔を出すタケノコは、ほかの植物でいえばひとつの茎から芽吹いた新しい枝のようなもの。すでに生育した周りの竹と同じの遺伝子をもっているのです。孟宗竹も例外ではなく、地下茎を伸ばすことによって竹林を広げていきます。そのため、日本国内で繁殖している孟宗竹の遺伝子配列はすべて同一なのだそう。広大な範囲にひとつのクローンが分布しているという事実には驚かされます。
67年に一度の花
竹の花を見たことはありますか? 67年から120年に一度しか咲かないと考えられている幻の花です。花を咲かせた竹は枯れてしまうといわれていて、しかもそれは一本だけに起こる現象ではありません。竹林にはたくさんの竹が生えているように見えますが、実は地下茎でつながっているため根はひとつ。つまり、花が咲くとその一帯が全滅してしまうのです。 竹はイネ科であることから、滅多に現れないその花もイネの花に似ているのだそう。あまり目立たない姿なので、気づかないうちに通り過ぎたことがあるかもしれませんね。