バイオリン(裏板) | フローリング総合研究所
2020.01.27

バイオリン(裏板)

見た目の印象を決める裏板

  • バイオリン裏板 1枚板
  • バイオリン裏板 2枚接ぎ

2枚の写真のうち、どちらのデザインが好きですか?
この2枚の写真、どちらもバイオリンの裏板です。バイオリンの裏板のデザインは、普段そんなに注目される部分ではないですが、実はバイオリン奏者の好みが出る部分なのです。今回は、バイオリン奏者こだわりの「裏板」についてご紹介します。

なぜ、こだわるのでしょう?

もちろんバイオリンは楽器なので、楽器を選ぶ時に一番大切なのは、音色にもっとも影響する表板の材質です。“裏板のデザインは音色にはあまり影響しない”というのが、現在のバイオリン製作の考え方です。
では、どうして裏板にもこだわるのでしょうか・・・?それは、バイオリンという楽器が、他の楽器と比べても長期間に渡って弾きこまれるからです。実際、名器として有名なストラディバリウスは1600~1700年代に作られており、もう300年以上も弾きこまれています。長期間使いこむものなので美しさも欠かせないポイントとなり、表板の材質だけでなく裏板のデザインにもこだわる人が多いんです。

裏板のデザインバリエーション

一般的に、バイオリンの裏板には「メープル(楓)」が使われています。中でも、「カーリー杢(虎杢)」という特徴的な縞模様が入ったメープルは、見た目が美しいことから好まれていますが、同じカーリー杢を持つメープルを使っても、デザインの仕方によってバイオリンの見た目は大きく変わってきます。
例えば写真のバイオリンの裏板は、右側は裏板の真ん中で2枚の板を接ぎ合わせたデザイン、左側は裏板全てが1枚板のデザインです。2枚接ぎの裏板は、カーリー杢の縞模様が左右対称にデザインされた美しい見た目になりますし、1枚板の場合は、単純計算で2枚接ぎの裏板の2倍の太さの木から板を切り出しているので、贅沢感のある見た目になります。
このようにデザインが違うと音色も変わるように思いますが、1枚板にも2枚接ぎにも遜色なく名器はあり、どちらが優れているということはありません。そのため、バイオリンの裏板のデザインは奏者の好みによって選べるんですね。

どんな模様を選びますか?

メープルを贅沢に使った1枚板か、それとも左右対称な2枚接ぎか…長期間使いこむ楽器だからこそ、やはり迷いますね。しかし、それもまたバイオリンの魅力の1つだと思います。バイオリンを使われることがあれば、是非、裏板にも注目してみて下さいね!

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