ギター高額取引ベスト5
バイオリンの歴史的名器ストラディバリウスの中で、最も高値をつけたのは、2011年に1,589万4千ドル(約15億9千万円)で落札された1721年製の「レディ・ブラント」です。
では、エレクトリックギターの場合、どのくらいの価格がついた事があるのでしょうか?高額取引ベスト5を調べてみました。
バイオリン1位の15億9千万円は、東日本震災復興チャリティーが目的とされ、通常の4倍以上の値がついたとされています。更に、その歴史の差(エレクトリックギターは約60年)を考えると、エレクトリックギターも非常に効果な価格で取引されています。さらに注目すべきは、ベスト5のうち3本がフェンダー社製のストラトキャスターとなっていることです。
第1位 | 270万ドル (約2億7千万円) | 2004年のスマトラ島沖地震のチャリティーのため、 |
第2位 | 200万ドル (約2億円) | ジミー・ヘンドリックスが1969年のウッドストック |
第3位 | 120万ドル (約1億2千万円) | ボブ・マーリーが使用していたワッシュボーン社製 |
第4位 | 95万6千ドル (約9千6百万円) | エリック・クラプトンが最も好んで使っていたスト |
第5位 | 84万7千ドル (約8千5百万円) | エリック・クラプトンが使用していた |
※2014年時点でのランキング
「ストラトの魔術師」ジミヘン
ストラトキャスターは、楽器メーカーであるアメリカのフェンダー社から1954年に発売されましたが、発売当初から不人気で、一時は生産打ち切りを検討されていました。
そのストラトキャスターを一躍有名にしたのが、「ストラトキャスターの魔術師」と呼ばれたジミー・ヘンドリックスです。彼は、ストラトキャスターを温かみのあるディストーション系のゆがみが得意な大音量アンプのマーシャルアンプ(※1)に接続することで、今となっては不可欠なロックサウンドを新たに生み出しました。
更に、トレモロアーム(※2)を駆使した奏法も加わることで、ストラトキャスターが持つロック用エレクトリックギターとしての潜在能力の高さを世に知らしめたのです。
この影響によりロック系アーティストだけでなくソウル系、ブルース系のアーティスト達にもストラトキャスターの魅力が深く浸透した事によって、エレクトリックギターとしての地位を不動のものにしました。
※1マーシャルアンプ・・・1960年にジム・マーシャル氏によって発表されたギターアンプ。真空管アンプ独特の「素直で暖かみのある音」が特徴。
※2トレモロアーム・・・アーム部を操作する事で、弦のテンションが変わるので音程を変化させながら演奏できる。
樹種によって音色が変わる
ギターの音色は木材のパーツによる影響が非常に大きなウェイトを占めていますが、ストラトキャスターは、その製造年度によって使われている木材が異なります。
1954年の発売当初、ストラトキャスターは、そのボディー材としてアッシュを採用していましたが、1956年後半からはアルダー材、さらに1961年からはバスウッドも使われるようになりました。アッシュは、クリアーな中高音域と音抜けの良さが特長です。また、アタック感がよく出て、音の輪郭もはっきりしています。アルダーはアッシュと比べると軽量で中音域が良く出てバランスの良いサウンドとなります。俗に言う「枯れた音」として人気があります。またバスウッドは、アルダー材に似てバランスの良いサウンドが特長である反面、柔らかい材なので音の迫力には欠けます。
ネックに関しては、ハードメイプルワンピースと、ハードメイプルにローズウッド等を指板として貼り合わせたタイプとがあります。ハードメイプルの場合、非常に堅い材なので、アタック感が強く、シャープでクリアーなサウンドとなります。ローズウッド指板の場合はアタック感が弱くなりますが、逆に温かみのあるサウンドとなります。
使われる木材やその組み合わせによって音質に特徴があるところが、あらゆるジャンルの音楽に対応出来るオールマイティなギターとして世界中の人々に愛される存在となりえた由縁であると言えるでしょう。