ビートルズで一躍有名に
リッケンバッカー社は1931年にアメリカ合衆国カリフォルニア州で設立された楽器メーカーです。
設立からしばらくはハワイアンミュージックで使われているラップスティールギターが主力商品でしたが、1960年代にビートルズのジョン・レノン、ジョージ・ハリスン、ポール・マッカートニーが同社の製品を使用したことで、ギブソン社やフェンダー社といった大手楽器メーカーの仲間入りをすることとなりました。
現在では数多いエレクトリックギターやベースを製造していますが、今回は今でも数多くのミュージシャンに支持されているエレクトリックベースの「リッケンバッカー4001」を取り上げていきます。
リッケンバッカー4001に使われている木材
通常エレクトリックベースは、ネックにメープル材、ボディにはアルダー材、又はアッシュ材を使う事が一般的ですが、リッケンバッカーベースはネックだけでなくボディにもメープル材が使われているのです(指板はローズウッド材)。メープル材をマホガニー材と組み合わせてボディ材として使う例はありますが、メープル単体をボディ材として使っている例はリッケンバッカーベース以外ほとんど存在しません。メープルネックとメープルボディのコンビネーションこそがリッケンバッカーベース独特の硬くて芯の太い音を可能にしているのです。
リッケンバッカーの愛用者
ポール・マッカートニーは、ビートルズ時代はバイオリンベースをメインで使っていました。昨年公開されたビートルズのレコーディング風景を中心に構成された映画「ゲットバック」では、重低音に乏しいバイオリンベースに替えてリッケンバッカー社から贈呈されたばかりのこの4001ベースを使うようにプロデューサーから助言されていましたが、ポール・マッカートニーは「重たい、スイッチが多くて複雑」との理由で拒否している場面が捉えられていました。しかし解散後のウィングス時代は、このベースをメインにレコーディングやライブを行っているのです。ビートルズに比べて、よりロック色の強いサウンドを目指していたからこその選択だったのかもしれませんね。
またクリス・スクワイア(イエス)、ジョン・エントウィッスル(ザ・フー)、ロジャー・グローバー(ディープ・パープル)等もリッケンバッカー4001独特の硬質なベースサウンドを上手く駆使した音作りにこだわっています。
こうして見ると、フェンダー社のジャズベース、プレジションベースがオールマイティな音楽に対応できるのに対して、リッケンバッカーベースはその個性的な音の特徴や独特のシェイプからロック系のミュージシャンに多く愛用されているのが分かります。