レオ・フェンダーが手掛けたベースギター
ギブソン社と並んで世界の大手楽器メーカーであるフェンダー社は、1950年にレオ・フェンダーによって設立されました。その後レオ・フェンダーは自身の健康問題で1965年にフェンダー社を売却。一度は第一線から身を引きましたが、「技術者として新しい製品を開発したい」と、1972年に新たにミュージックマン社を創業しました。その新しいブランドから1976年に発売されたのが「スティングレイ ベース」です。
更なる進化
フェンダー社のベースと「スティングレイ ベース」の大きな違いはピックアップ(弦の振動を拾って電気信号に変えケーブルを通してアンプから音を出す仕組み)にあります。フェンダー社時代の、木の鳴りをダイレクトにアンプへ伝えるパッシブタイプに対し、ミュージックマン社のギターには、木の鳴りをコントロールしてアンプへ伝えるアクティブタイプのピックアップが搭載されました。
今では当たり前のアクティブタイプですが、パッシブタイプが主流だった当時、このアクティブタイプのサウンドは大きな衝撃を与えました。パッシブ、アクティブタイプはそれぞれに良さがありますが、パッシブは暖かみのある木の鳴りを重視する人、アクティブはクリーンでパワフルな音色を好む人に人気があると言われています。
スティングレイに使われている木材
ネックにはメープル、指板にはローズウッド・メープルのいずれか、またボディにはアッシュ材が使われています。
ギターのボディ材として使われているアッシュには、ホワイトアッシュとスワンプアッシュの2種類があります。ホワイトアッシュは比重が高く重たい材で、低域と高域をしっかりと出す事が出来ます。スワンプアッシュは、ホワイトアッシュと比べると重量が軽く、ライトアッシュとも呼ばれています。高域はしっかり出ますが低域に弱く、中域に優れています。スティングレイに使われているのは、このスワンプアッシュです。
スティングレイの愛用者
中域に優れた音質に加えて幅広い音作りが可能なスティングレイは、タイトなベースサウンドが特徴のベーシストに好まれています。
その代表がルイス・ジョンソンです。彼のスラップ奏法によるファンキーなサウンドはスティングレイ無しではあり得なかったでしょう。他にもジョン・ディーコン(クイーン)等、数多くの愛用者がいます。
その後、ミュージックマン社はギター弦の会社であるアニーボール社に買収されてしまいました。レオ・フェンダーは1991年にパーキンソン病で死去。「世界中のアーティストにしてやれる事は全てやった。」と言い遺し、1992年にロックの殿堂入りを果たしています。