「大ケヤキ」というほど巨大ではないが、町の中心部にある役場のそばに、やや斜めに構えて立っている姿には愛嬌が感じられる。市制改正で丹波市に編入されたが、もともとは柏原町役場のランドマークであった。この木が立つのは、11世紀始めに創建された柏原八幡神社の参道にあたる。樹齢1,000年と推定されているので、大きく育ったケヤキに沿って道が通されたのかもしれない。真横に伸びた根が、すぐ近くを流れる奧村川に架けられた土橋の一部となり、川をまたいでいる。その姿から、市民からは「木の根橋の大ケヤキ」との愛称で呼ばれているそうだ。おそらく何百年にもわたって手を加えられたことにより、半ば自然、半ば人工の木の根橋ができあがったのであろう。
周囲の開発が進んだことで一時は樹勢が衰えたが、町のシンボルを守る運動が地元から起こり、道路の下に根を伸ばすための空洞を設けるなどの対策が行われた。その甲斐あって樹勢を取り戻し、今や各地で行われている保護・愛樹運動の成功例として高く評価されている。なお、樹齢を重ねたケヤキには銘木的価値の高いものが多い。とくに樹幹部に力が加わると、独特の紋様である「玉杢」を形成する。そうした眼で見ると、傾いた立ち姿はよりいっそう魅力的である。
指定:県指定天然記念物
所在地:兵庫県丹波市柏原町柏原
樹種:ケヤキ
樹齢:推定1,000年以上
樹高:25m
幹周:6.4m
撮影:2004年
所在地:兵庫県丹波市柏原町柏原
樹種:ケヤキ
樹齢:推定1,000年以上
樹高:25m
幹周:6.4m
撮影:2004年