目に優しい木材 | フローリング総合研究所
2021.11.30
赤外線1/fゆらぎ癒し紫外線

目に優しい木材

 

木造の家や木材を用いた空間にいると、何故だか「落ち着く」「心地よい」と感じることはありませんか?それは実は、木が目に優しい素材だからです。その理由についてご紹介します。

光の種類

太陽の光を浴びることができる日当たりのよい部屋はとても気持ちがいいですよね。しかし、必要以上の光はまぶしく、目を疲れさせる原因にもなりかねません。それは、太陽の光の中には有害な「紫外線」が含まれているためです。

人の目で感じることができる光「可視光線」を、光の波長によって色で表すと、短いものから紫→藍→青→緑→黄→橙→赤となります。虹が七色に見えるのを想像するとわかりやすいですね。そして、可視光線より波長が短いものを「紫外線」、長いものを「赤外線」と言います。

光の波長による分類

紫外線の吸収と赤外線の反射

光の種類のうち、青色寄りの光成分は木材に吸収されやすく、目に有害とされる紫外線も吸収してほとんど反射しません。一方、赤色寄りの光成分や赤外線はよく反射します。紫外線は肌にシミをつくったり、目を刺激し痛ませてしまうといった影響がありますが、赤外線は体を温める効果があります。

紫外線の吸収・赤外線の反射イメージ

人に快適な光の反射率は、肌色と同じ50~60%と言われていますが、木の反射率はほぼこれと同じ。木が反射する光はまぶしすぎず、目に優しいと言えます。

また、木材は表面とともに細胞内部からも光を反射します。細胞内部からの反射は拡散的で、光の当たる方向によって反射の仕方が違います。このため、木材は見る角度によって色や光の具合が変わり、人工では真似できない美しい光沢や絹のような艶を感じられるのです。

  • 光沢を放つ木材
    光を受けて光沢を放つハードメイプルのフローリング
  • 細胞内部の光の反射イメージ
    細胞内部の光の反射イメージ
光の向きによって変化するオークの木目
光が当たる方向によって変化するオークの木目

その他にも、サペリなどの柾目面に現れる「交錯杢理(こうさくもくり)」と呼ばれる濃色と淡色の縞模様は、見る角度によって濃淡が逆転し、ゆらぎのある美しい表情を生み出しています。そのゆらぎを動画でご確認ください。

「1 / fゆらぎ」とは?

さらに、わたしたちがよく目にする木材の「木目」の模様自体が、人にやすらぎをあたえる効果をもっています。それは、広くなったり狭くなったりする木目の間隔に「1/fゆらぎ」と呼ばれるゆらぎが存在しているからです。

「1/fゆらぎ」とは、ろうそくの炎やそよ風、小川のせせらぎなどのさまざまな自然現象の中に発見された「不規則さと規則正しさがちょうどいい具合に調和しているリズム」のことを指します。

例えば、直線を等間隔で並べると幾何学的な冷たいイメージになりますが、直線を不規則に並べるとぬくもりのある雰囲気がでて、どこか自然な感じがしませんか?

1/fゆらぎのイメージ図

人の心拍の間隔も一定のように思われますが、実際には10%位の幅で心拍間隔が長くなったり短くなったりしていて「1/fゆらぎ」となっています。また、人の脳波の揺らぎも精神的に安定な状態にあるときは、同様であることがわかっています。このように、人の体のリズムも「1/fゆらぎ」となっていることから、「1/fゆらぎ」は人に快適感を与えると考えられています。

木目模様を印刷したものや、公園などでコンクリート製の擬木の丸太のベンチなどを見かけますが、木に似せることによって、柔らかさや色合いなど人々がもっている木のイメージを利用しているのかもしれません。

人に有害な紫外線を吸収し、体を温める赤外線は反射してくれる木材。そして、木目がもつ「1/fゆらぎ」は心がやすらぐ効果をもたらしてくれます。このような、視覚的に人を癒し、目に優しい木材を生活の中に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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