木材は環境によって反りや割れが発生することがありますが、その原因は木材に含まれる水分量の変化です。水分量の計算方法や、水分の変化による反りや割れのメカニズムをご紹介します。
含水率とは
木材に含まれる水分量を「含水率」と呼びます。「乾燥後の重量」に対してどの程度水分を含んでいるかを示すもので、含水率が100%を超える場合もあります。
一般的に使われる「体積」に対する水分量(湿量基準含水率)とは異なり
「(木材の乾燥前の重量(g)-乾燥後の重量(g)) ÷ 乾燥後の重量(g) ×100」
で計算します。
例)含水率10%の場合
重量1100gの丸太を乾燥すると、1000gの乾燥丸太になりました。乾燥丸太の中に100gの水分が含まれているので、含水率は10%と計算されます。
(1100g-1000g)÷1000g×100=10%
例)含水率150%の場合
水分を多く含む樹種では、伐採直後の含水率が150%程度に達する場合もあります。
例えば、重量250kgの丸太を乾燥した際に、100kgの乾燥丸太になったとします。100kgの乾燥丸太の中に150kgの水分が含まれていたため、含水率は150%と表現されます。
木材中の水はどのように含まれているの?
木材に含まれる水分には、木材の細胞の隙間に存在する「自由水」と、細胞壁の内部まで入り込んでいる「結合水」があります。木材から水分が抜けるときには、まず「自由水」が先に抜け、その後に「結合水」が抜けていきます。木材の反り・割れ・ねじれなどが発生するのは、含水率が約30%よりも低下して「結合水」が抜け始めるときです。
伐採直後の木材は、「生材」という「自由水」と「結合水」がたくさん含まれている状態です。その後、抜けやすい「自由水」が抜けきると「繊維飽和点」と呼ばれます。さらに屋外に長期間放置しておくと安定した「気乾状態」になります。木材に含まれるすべての水分が抜けきると「全乾状態」と呼ばれます。
なぜ木材を乾燥して使うの?
使用後に含水率が大きく変化して反り・割れ・ねじれが発生すると困ります。そのため、木材を環境に合わせた含水率に仕上げてから加工することで、使用するときの不具合を防げます。日本では地域によって異なるものの、木材を長期間放置すると、含水率が約15%になると言われています。室内環境の場合はさらに低くなると想定されています。
そのため、フローリング用に使用される木材の含水率は10%程度になっているのです。
木材に含まれる水分を「含水率」と呼び、木材を利用する際の品質には含水率が大きく影響しています。フローリングに利用される木材は、環境に合わせて10%程度に仕上げてから加工されています。そうすることで、大きな含水率の変化による反り・割れ・ねじれを防いでいます。