木材は一定の方向に成長するため、切り方によって同じ樹種のフローリングでも様々な表情が生まれます。今回はその中でも基本的な「板目(いため)」と「柾目(まさめ)」について、見た目の違いと特徴を紹介します。
「板目」と「柾目」とは
「板目」とは、木材を中心からずらして切ったとき(年輪に接する方向、接線方向に切ったとき)に表面に現れる木目です。タケノコ形の山が重なったような模様が特徴です。
「柾目」とは、木材の中心付近を切ったとき(中心から外に向かう方向、半径方向で切ったとき)に表面に現れる木目です。板目と異なり、直線的な木目です。
フローリングにした際の見た目の違い
樹種ごとの色味だけでなく、板目・柾目の多さでもフローリングの印象が変わります。
例えば、板目はランダムな年輪の模様から表情豊かな印象を受けます。木材ならではの不揃いさから生まれる存在感や柔らかさがあり、ナチュラルで温かみのある雰囲気を楽しめます。
一方、柾目はまっすぐ平行に流れる美しい木目から整然とした印象を受けます。木の個性がそのまま現れる板目に比べると、すっきりとして洗練された雰囲気を楽しめます。
樹種や商品によって板目・柾目の入り方は異なりますので、お好みの住まいに合わせてうまく使いこなしましょう。
その他の板目と柾目の特徴
コストの面では、板目の方が柾目よりも価格が安い傾向があります。幹の中心部は割れ等の不具合が発生しやすく、フローリングの材料としては基本的に用いられません。そのため、木材の中心付近を切る柾目では、幅が広い材料を確保しづらく、価格が高くなりやすいのです。
性能の面では、板目の方が柾目よりも乾燥時の収縮が大きく、反りなどの不具合が発生しやすくなります。これは「異方性」と呼ばれる木材の性質が原因です。
木材は切り方で見た目が変わり、基本的な木目の種類に「板目」と「柾目」があります。それぞれにメリットとデメリットがあり、見た目だけでなく価格や性能にも違いがあるのです。