現象|戸建て住宅の床鳴り
歩くたびに、フローリングがきしんで“ギシギシ” “ミシミシ”と音が鳴ることを「床鳴り」といいます。古い建物の床鳴りは主に劣化が原因ですが、新築間もない家の場合は様々な要因が考えられ、戸建て住宅やマンション等の住宅タイプによってもその要因は異なります。そこで今回は、「戸建て住宅で起きる床鳴り」について、考えられる原因とその直し方をご紹介します。
原因
戸建て住宅の多くは、下地となる合板等の上にフローリング材が貼られた構造になっています。
そのため、戸建て住宅で起こる床鳴りには、「床材から音が鳴っている場合」と「床下の下地材から音が鳴っている場合」の大きく2つが考えられます。それぞれに分けて、原因を探っていきましょう。
【床材から音が鳴っている場合】
主に次の2つの要因が考えられます。
①床材の継ぎ目部分の擦れ
木の性質として調湿機能が働き、伸び縮みをすることによって発生します。天然素材を使っている以上ある程度やむを得ない現象ではありますが、湿気を吸うことによってフローリングが伸びたり、施工による何らかの影響があったりすると、継ぎ目部分が擦れて音が発生します。「ギシギシ」という音が鳴ります。
②床材を固定する釘の擦れ
一般的な戸建て住宅では、フローリングは接着剤と釘を使って下地材(合板)に固定されていますが、この釘が何らかの影響で緩んでしまうと、材料間や釘の周りに隙間ができ、そこを踏むことで音が発生します。「キュッキュッ」という音が鳴ります。
【下地材から音が鳴っている場合】
主に次の2つの要因が考えられます。
①下地材同士の擦れ
床下の下地には、合板、根太、大引きなどの様々な木質部材が使われています。これらの部材が伸び縮みすることで、継ぎ目部分が擦れて音が発生します。「ギシギシ」という音が鳴ります。
②下地を固定する釘の擦れ
各下地材を固定する釘が緩み、その場所を踏んだ時に下地材と釘などが擦れて音が発生します。「キュッキュッ」という音が鳴ります。
【その他】
①ワックス等の粘り気のある材料の擦れ
ワックスやジュース等がフローリングの継ぎ目から侵入し、下地材との間で擦れることで音が発生します。「ペチャ」という音が鳴ります。
このように、「戸建て住宅で起こる床鳴り」といっても様々な原因が考えられます。しかし、床鳴りの原因はこの中の1つだけとは限らず、複数の原因が重なっている場合も多くあります。自分で特定や補修を行うことは難しいため、施工会社を通じて補修業者へ依頼しましょう。
(参考)直し方
床鳴りの補修では自分で行うことは難しいですが、ご参考までに、業者が行っている「補修方法」の一部をご紹介します。
①床材の継ぎ目部分の擦れが原因の場合
床材の継ぎ目部分に隙間が無くなって木材同士が擦れることで音が発生しているので、
✔専用のカッター(Pカッター)で継ぎ目部分を削って、隙間を開ける
✔開けた隙間に床鳴り防止剤を注入する
等によって摩擦をやわらげると、音が鳴りにくくなります。
②床材を固定する釘の擦れが原因の場合
床材と下地材を固定する釘が緩み、周囲に隙間ができることで音が発生しているので、
✔まずは床鳴り防止剤を注入する
✔直らない場合は、床材と下地材の隙間にクサビや補強部材を入れたわみを減らす
✔どうしても直らない場合は、フローリングを貼り替える
等を行うことで、音が鳴りにくくなります。
③床材を固定する接着剤の擦れが原因の場合
床材を固定する接着剤の周囲に隙間があることが原因なので、
✔まずは床鳴り防止剤を注入する
✔どうしても直らない場合は、フローリングを貼り替える
等を行うことで、音が鳴りにくくなります。
※床鳴り防止剤の例※ 各商品の“使用上の注意”をよく読んでお使いください。
リンレイ 床鳴り防止剤 |
|
▼注入ボトル(別途準備)に適量を充填し、フローリングの継ぎ目部分に直接注入します。注入後、乾燥する前に水拭きしてはみ出した液剤をふき取り、仕上げに乾拭きをしてください。 |
コニシ ボンドフロアーメンダー |
▼専用注入器を使ってフローリングの隙間へ液剤を注入してください。小容量の個装パックタイプです。 |
④下地材から音が鳴っている場合
下地材の寸法変化や固定する釘が緩むことで、下地材同士の間に隙間ができることが原因なので、
✔まずは隙間にクサビを打ち込む
✔釘や部材を補充して、下地を補強する
等を行うことで、音が鳴りにくくなります。
⑤ワックス等が原因の場合
フローリングと下地材の間に粘り気のある材料が入り込んでいることが原因なので、床鳴りが起きている箇所のフローリングを部分的に貼り替えることで音が鳴りにくくなります。
いかがでしたでしょうか。床鳴りの原因によって様々な対処方法がありましたね。しかし、床鳴りは複数の原因が重なっている場合もあります。自分で特定や補修を行うことは難しいため、施工会社を通じて補修業者へ依頼しましょう。