コペンハーゲン北部の森と湖に囲まれたビヤケグォルという町に佇むトリーネさんとソアンさんの住まいに訪れました。この住まいは1960年に建設、72年に増築された160㎡の平屋ですが、その古い家をトリーネさんが購入し2017年にDIYで蘇らせたそうです。築60年には見えないモダンなお住まいでした。
美しい木々に囲まれた大きな庭のある一軒家です。黒い外壁と大きな窓が特徴です。デンマーク人は衣食住のなかで、特に“住”の満足度を求める傾向があり、新築を手に入れるより古い家を買って自分流にリノベーションすることを好む人が多いそうです。
世界幸福度ランキングで毎年上位につくデンマークに「ヒュッゲ(hygge)」という言葉があります。日本語で「心地よさ」「ほっこり感」を意味するこの言葉は、デンマーク人の幸福度の根底にある、暮らしのなかで大切にしている概念として、数年前に世界的なブームになりました。
ダイニングからリビングを見た様子。床材はデンマークで一般的なパイン材で、ソープとホワイトオイルを使ってナチュラルに仕上げられており、室内を明るく優しい空間にしていました。ホワイトソープフィニッシュは経年変化による黄色味を消す効果があります。パイン材の床張りは、ソアンさんが自ら手掛けられたそうです。
リビングの一部は引き戸で仕切るとコンパクトなベッドルームに。手前にあるウェグナーのザ・チェアはソアンさんが自ら作られたものです。壁には薪ストーブがあり、ダイニングテーブルや窓際にはキャンドルが灯っていました。
施主のソアンさんはデンマークを代表する家具工房でウェグナーの家具を手掛けてきた木工職人。キッチンや家具だけでなく床も家主が自作して蘇らせた家は、まさにヒュッゲな空間でした。