年々注目度を増す世界最大規模のデザインイベント「Salone del Mobile Milano(ミラノサローネ)。今年も本会場には約2,000社の企業が出展、市内各所で開催されるフォーリサローネには400を超えるブランドが参加しました。大きな傾向としては、ベーシックでタイムレスなデザインが今年のトレンドで、目を見張るような奇抜なデザインは少なかったようです。
また、例年以上に家具単体ではなく空間として提案するブランドが多く見られたのも特徴でした。それでは、インテリア全般のカラートレンド、そしてフローリング総合研究所の視点でみた、木質トレンドについて報告いたします。
2017年と2016年のカラートレンド比較。上のカラーの帯はファッションのカラートレンド。
[インテリアトレンド] アースカラーに強めのカラーを加えたエスニックカラー
今年のカラートレンドを一言で表現するとエスニックカラーです。ベースは、去年、一昨年に引き続き、グレー、ブラウン、ベージュ系のアースカラー(砂や石といった大地や木の幹の色)ですが、そこに組み合わせられるカラーが昨年よりも濃い色目で、また大きな面積で使われていました。アソートカラー、アクセントカラーとして加えられるのは、赤、オレンジ、イエロー、ブルーグリーン、ピンクでいずれもファッションのカラートレンドと連動しています。
上の写真のように、代表的なブランドのブースの写真を集め、並べて比較するとトレンドの変化を確認できます。先行するファッショントレンドが、ファブリックやテキスタイルだけでなく、その他の素材にまで影響していくというトレンドの流れをあらためて実感しました。
[木質トレンド] 赤系樹種の台頭と躍動感のある木目使い
木質においては、今年も、オークとウォルナットの二大樹種で60%以上を占めるトレンドが継続しています。また、一昨年頃より出てきたユーカリは定番化してきました。昨年と違うのは、赤や、オレンジ、カッパー色といったカラートレンドに伴い、マホガニーやローズウッド、パリサンダーといった樹種が出てきたことです。そして、それらの樹種では、天然木ならではのダイナミックな「杢」や「照り」を効果的に使い、素材の持つ躍動感を演出していました。昨今、ヨーロッパにおいて、石目はセラミックのグラビア印刷が少しずつ増えてきている反面、木目のプリントは後退していると言われるのは、木が有機体(生物)であるため、本質的に人工物には置き換えできないからではないかと思います。
人が心から安らげる空間づくりに、本物の「木」の「素材感」が今まで以上に求められる時代の到来を感じた、今年のミラノサローネでした。