THE JOURNEY OF 杢 (MOKU)
“Woods”
#01
"MOKUSHO" IS THE PROFESSIONAL
OF THE WOOD AND FOREST
#01
“杢匠”は、森と木の
プロフェッショナル。
森と語り、木を読み解く。
原木からの一貫生産を支える杢匠 上北耕司。
仕上がりをイメージして買い付ける
床材の顔となる表面化粧材には、世界中から選りすぐられた美しい杢目の銘木が使われています。朝日ウッドテックのこだわりは、この銘木を原木の段階から自社調達していること。原木が床になるまでの製造工程を、一貫して自社で行なっています。
買い付けのために産地国まで足を運ぶのは、木と森を知り尽くした杢匠 上北耕司。樹皮が剥がされていない原木を側面と木口から判断して、その木の行く末、その木の用途を思い描きながらふさわしいものを選び出すことができるという選木眼の持ち主です。
伐採されたばかりの原木が並ぶログヤードだけでなく、ときには森にも足を運び、生育管理が適切に行われているかどうかを見極めることもあります。 その選木眼は、ルーツである銘木商時代から受け継がれてきた「素材の力を引き出す」という朝日ウッドテックのDNA。そのため、敬意を込めて「杢匠」と呼ばれています。
一貫生産を支える杢匠の眼力
森と原木を見るために多いときでは年間100日近くも国外に出ている杢匠ですが、実は買い付けだけが仕事ではありません。買い付けた原木がイメージした通りに加工されているかを確かめるため、工場で製造過程をチェックするのも重要な役割。原木から「突き板」「挽き板」の状態になるまでを通して見ることこそが、杢匠の本来の職能なのです。
朝日ウッドテックの製造プロセスはそのほとんどが工業化されており、それぞれのパートにプロフェッショナルがいます。しかし、製造工程をトータルで読み解くことができるのは、社内でも杢匠を含む数名だけ。原木から一貫生産するという朝日ウッドテックのこだわりは、銘木を扱う歴史の中で育てられた彼らの目によって支えられています。
#02
A POINT OF VIEW FOR
"MOKUSHO"
#02
原木を見つめ続ける
杢匠の目
厳しい寒さのなかでの選木。
樹種ごとの特性を見逃さない。
数千本の原木を見て選び出す
伐採が行われるのは、樹に含まれる水分量が最も少なくなる真冬。杢匠が産地を訪れるのも、ほとんどがその氷点下にもなる厳しい時期です。まだ日が昇らない暗いうちから、凍った道をサプライヤーのログヤードへ向かいます。ログヤードには、伐採されたばかりの原木がずらり。
数千本のなかからどの原木を買い付けるかは、表皮と木口(断面)の様子から判断するしかありません。
選木の基準は樹種によってさまざま
真っ先に候補から外されるのは、著しく劣化のみられる木材です。買い付け基準に則り1本1本チェックしていきます。樹種によっても見極め方は変わります。たとえば、ガムポケット(やにつぼ)の多いチェリー材。散水器で木口を湿らせて、乾いた状態では見えにくいガムポケットを浮き上がらせてから判断しています。
こうした地道な選木作業が、ひとつのログヤードで半日以上続きます。丸太の上に雪が積もっていることも珍しくなく、その場合は雪かきから始めなければなりません。体力だけでなく集中力も要するハードな仕事に長年取り組み続ける杢匠の様子は、銘木と床づくりに対する想いに突き動かされているかのようです。
#03
PURSUING WOODS
OF "ASAHI SPEC."
#03
「アサヒ・スペック」
を満たす木材を求めて
世界中に広がる調達ネットワークはバイヤーとしての信頼を築いてきた証。
33カ国を巡るなかで磨かれた選木眼
新しい製品を企画するときには、適した銘木を探すために杢匠が新しい調達ルートを開拓します。これまで、33カ国から51樹種の原木やランバーといった原材料を買い付けてきました。杢匠の優れた選木眼は、土地によって異なる森の様子や銘木の表情に触れ続けるなかで磨かれてきたのだといいます。今のところ、朝日ウッドテックが扱っている木材は23種類。ヨーロッパ、北アメリカ、アフリカ中央部、東南アジアなど、世界15カ国の原産地から原材料を調達しています。そのなかでも、最も多くの樹種を輸入しているのがアメリカです。杢匠は数十年前から足を運び、バイヤーとしての信頼を築いてきました。
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ヨーロッパシカモア、オーク、ビーチ
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北アメリカブラックチェリー、ハードメイプル、ブラックウォルナット、バーチ、ホワイトアッシュ、ホワイトオーク
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アフリカ中央部サペリ
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東南アジア竹、チーク、カリン、マホガニー、アカシア
こだわりを理解してもらうために
朝日ウッドテックでは商品のコンセプトごとに独自の調達基準を用いています。それが「アサヒ・スペック」。アメリカ国内において、広葉樹の製材品グレードは大きく3等級に分かれます。基準となるのは、「クリアー材」と呼ばれる欠点のない部分の比率。最もグレードの高い「FAS」という等級はクリアー材が面積比の83%以上と定められています。そして、挽き板フローリング「ライブナチュラル プレミアム」の中で、洗練美をコンセプトとする「スタンダード」に使用する化粧材は、上記のFASよりもさらに厳しい基準で選ばれています。そこには日本的な美意識と繊細なこだわりが色濃く反映されているため、取引を始めた当初はサプライヤーになかなか理解してもらえませんでした。「帰ってくれ」と言われてしまうこともあったといいます。
近年になってやっとサプライヤーのほうでも「アサヒ・スペック」を満たす木材の生産に協力してくれるようになってきました。銘木を安定的に調達できるようになった影には、自らの目を信じて粘り強く交渉してきた杢匠の努力があるのです。
調達ルートは常に探し続ける
ただ、これからも同じ樹種ばかりを取り扱うとは限りません。これまで、お客様との対話のなかから隠れたニーズを掘り起こし、新しい床の歴史を作ってきた朝日ウッドテックでは、常に新しい調達ルートを探し続けています。
そのために、今日も杢匠は飛行機に乗り込んで厳冬の森に向かうのです。
#04
A DNA OF
“PRESIOUS WOODS MAISTER”
#04 銘木商のDNA
素材の力を引き出す杢匠の情熱は、
創業当時から受け継がれているもの。
優れた選木眼で知られた創業者
そもそも「銘木」とは、木材のなかでも材面の鑑賞的価値が極めて高いものや、材質がとくに優れているもの、樹齢や樹種によって入手が困難なものなどのこと。
朝日ウッドテックの創業者である海掘寅造は銘木の目利きとしてよく知られた人物で、とくに杉の選木においては右に出るものがいないと言われていました。
そのため、銘木が伐採されるときや、由緒あるご神木や巨樹が台風や雷などで倒れたときには、寅造のもとへいち早く情報が集まっていたといいます。全国に名高い奈良の春日大社で貴重な大杉が伐採されたときにも、寅造に買い付けの申し入れがありました。
魅力を引き出すのも銘木商の仕事
そうした選木眼の鋭さはもちろんのこと、その銘木を加工するのも銘木商の仕事です。買い付けだけでなく、木取りや磨きといった材の魅力を引き出す技術も欠かせません。
上質な木材を見抜き、素材の力を最大限に引き出す。それこそ、銘木商に求められた役割なのです。
このように木材と真摯に向き合っていた寅造の姿は、現代の杢匠の姿と重なります。上質な原木を買い付け、一貫生産の過程をトータルで見守る。時代が変わっても、役割は変わっていません。
最高の素材を求め、その魅力を引き出そうとする銘木商のDNAは、創業から現在に至るまで脈々と朝日ウッドテックに受け継がれているのです。