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朝日ウッドテックで「働く」ということ
ルーツは100年前の、銘木商。
受け継がれた深い「まなざし」。
永見 義広
朝日銘木株式会社 常務取締役
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1000本からすぐれた1本を選ぶのはたやすい。
100本選ぶのが木匠
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1000本からすぐれた1本を選ぶのはたやすい。
100本選ぶのが木匠
大正2年創業の大阪を代表する銘木商として知られた「霜寅商店」。その銘木業としての創業時から100年に渡って引き継がれてきたDNAは、朝日ウッドテックのブランドを支える木材の調達力の源泉として、朝日銘木株式会社に引き継がれています。銘木とは材質に優れた価値の高い木のことです。木の調達全体をマネジメントする永見義広によると、銘木の調達量は次のようなスケールで行われています。
「朝日銘木に於ける資材調達量は、投入される原木換算で、毎月約2,000m3です。ちなみに約2,000m3というと直径50cm=長さ2mで、約5000本分に相当します。樹種によっては、日本に輸入されている材料の中で、当社の消費量が一番多い樹種もあります。調達から化粧材の製造、床や壁など製品の完成、販売まで一貫して自社で行っているのは、この業界でも当社だけですね」
それだけの量がある調達の難しさを、永見は木匠から教わったことがある。
「1000本の木から1本の優れた木を選ぶことはたやすい」と。
つまり、1本では商品をつくって販売することができません。つくりたい商品の品質に適した木を100本、1000本と一定量を確保しながら選び抜くのが、目利きの腕と人脈力になってきます。100年以上前から銘木商として世界を駆け回ってきた歴史の積み重ねから成せる強みではないでしょうか。
なるほど。それを裏付けるように、朝日銘木には木匠と呼ばれる人物がいます。木匠は奈良で生まれ育ち、山を知り、森を知り、そして、朝日銘木において40年以上も良質な銘木を求めて世界の山を飛び回ってきました。他を凌駕する木の知識と経験は、どんな国のサプライヤーからも尊敬の目でみられています。
02
素材を活かすために、
商品にもこだわる
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素材を活かすために、
商品にもこだわる
調達の目利き力。そのすべてがスキルとして学べるものではありません。自分で買い付け、製品にして評価までする。木匠はまさにそうしたことを繰り返すなかで木匠となった。自分はまだまだ勉強中と苦笑いする永見。
「経験を積んだ人なら、丸太を挽かなくても、板になったときにどういった木目や風合いがあって、狙った材料かどうかをおおよそ判断できます。更に、調達する丸太は、単に大きかったり真っ直ぐだったり節が少ないといった歩留まりの良さに頼るだけじゃないんです。しっかりと商品としてきれいに仕上げて使ってあげるために、活かせる素材であるかどうかを見極める必要があるんです。料理の仕入れと同じかもしれないですね」
朝日ウッドテックが発売した新商品の中には、「この木なら良い商品になるかもしれない」と朝日銘木からの提案だった例は数知れません。丸太の調達をし、デザインを考え、化粧材をつくり、朝日ウッドテックの商品設計にも注文をだしながら、完成品をいっしょになって評価して商品づくりを手がける企業は、業界内でも珍しく、木のすばらしさを自ら伝えていきたいと思うからこその提案。
朝日銘木と朝日ウッドテックの関わり方が、仕入れ人と料理人の関係なら、どう料理して、どのように食べてもらいたいかまで考えて仕入れる人になるのですが、さらに、テーブルの横に立って新しいものも試して欲しいと、いつも口だししているような人だといえます。その、ものづくりへの姿勢が画期的な商品を生み出しています。
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銘木は、伐採のあとも
生きている
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銘木は、伐採のあとも
生きている
「時間が大切な化粧材もある」と工場内で永見が手にしたのは厚さ約0.3mmに薄くスライスした突き板とよばれるものでした。
「突き板は水分も養分も含んでいます。だから生モノ、生鮮食品と同じなんです。ですから、素材を投入したらなるべく早く仕上げてあげる必要があります。長くおきすぎると、材料は劣化して色合いを損なってしまいます。一方、一定の時間をおかないと本来の色合いにならないものもあります。ですから、工場の中には冷蔵庫や煮沸層があって、食品工場みたいでしょ。」
資材であっても、プラスチックや金属を扱う仕事と決定的に違うのは、木は伐採され、その後製品になってからでも空気中の水分を取り込んだりしながら、まるで呼吸するように伸縮を繰り返えします。自分が調達した木には人一倍に思いがこもるのはそこに命を感じるからと言っても過言ではありません。
「自分の人生より長い樹齢の木材をあつかっているわけです。自然の恵みを使わせてもらっているのですから、大事にしないといけません。昔は、木を切る前に拝んでからノコを入れていたと聞きます。ものづくりというのは結局のところ、木への思い、愛情、感謝の深さで変わってくるものだと思っています」
最後に永見は、木匠についてこう話してくれました。
「木匠は英語を話せません。ところが、いっしょに海外へ商談に出かけると不思議といつのまにか旧知の友のように誰とでも打ち解けて、すごい人間関係ができていて驚かされます。やっぱり最後は人間力なんでしょうね。」
この人になら売ってもいい、と思わせる木材への愛情がにじみでたまなざしこそ、100年の歴史をもつ銘木業として受け継がれている朝日銘木のDNAなのではないでしょうか。