05
朝日ウッドテックで「働く」ということ
床で、取引先のビジネスを変える。
床で、住空間のバリューを変えていく。
石上 幸太郎
取締役営業本部統括本部長 兼西部営業部長
01
本物か、欠点か。
価値は伝える努力で決まるもの
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本物か、欠点か。
価値は伝える努力で決まるもの
「こんな商品をだすとクレームになる」−−−。 2002年に商品ラインナップをがらりとかえ、中高級床材に特化したブランド戦略を決断したとき、まわりからは厳しい声が聞こえてきました。主力商品は、天然木の本質美を追究した突板化粧フロア「ライブナチュラル」。これまで床材として使うことを避けられてきた筋や色の濃淡、木目の躍動感など、自然のままの木のキャラクターを活かした画期的な床材は、当初、売り出すことが難しい商品でした。営業戦略を担当していた石上は次のように振り返ります。
「まず、床で木のあじわいを楽しむという考え方がありませんでした。建具や収納家具にそれなりに合わせたものでいいという発想です。暮らしや家づくりの視点からトータルコーディネートをして、木のあじわいを選ぶことはまれでしたし、そういう商品自体がありません。だから営業は新しい価値をマーケットに理解していただくところから始めました」
木は日光に当たると日焼けします。変色を防ぐ着色を施した床材は劇的な変化は起きません。しかし、「ライブナチュラル」は自然のありのままのあじわいを楽しめるように加工しているため、施主に家を引き渡すときに白っぽい色だった床が、1年後には赤く色づき趣が増すのです。
「木とは本来そういうものです。変化するから本物なんです。ただ、それを価値として伝えなければ、ただの欠点になってしまいます。たとえば、革製品と同じです。時とともに変化するあじわいが愛着になります。ワインと同じです。時とともに深みがまします。暮らしていれば人間も変わっていきます。昔なら柱の背比べの傷が家族の思い出でした。私が売っているものはそういった楽しみ方を大切にした暮らしのあじわいなんです。
02
値段の話はするな、取引先のビジネスに
興味を持ちなさい。
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値段の話はするな、取引先のビジネスに
興味を持ちなさい。
石上は営業の役割は2つあると考えています。1つは、新商品がでたらその価値を伝え、マーケットを開拓し、次の商品が開発されるまでの時間をつくってあげること。もう1つは、取引先の経営課題を理解して、一緒に解決策を練っていくこと。朝日ウッドテックの商品はハウスメーカーや問屋、工務店などを経由して家を建てるエンドユーザーの暮らしに採用されていきます。つまり、取引先に床の価値を正しく伝えていただくことで、はじめてニーズが増えていきます。
「値段の話はするなと、メンバーには言っています。まず、取引先のビジネスに興味をもってとことん理解してから、どんな経営課題があるのか、それに対してどう役に立てるのかを考えて、解決までのストーリーを組み立てています。相手にとって売上げが上がる、顧客満足度が高まる、競争力が着くなどの解決ストーリーを一緒に描き、結果的に売れる。それが営業努力。だから、価格競争はしませんし、価格競争になる商品はつくるのをやめました」
石上自身も、商品提案で取引先のブランド力が上がる仕事を経験してきました。ある高級ハウスメーカーは、キッチンや外装と比べてフローリングにかけるコストだけが安価でした。当時、取引が全くなかったそのハウスメーカーに対し、現場視察や展示場訪問、営業職の成功要因分析などを徹底し、経営課題を木造住宅を軸に据えた差別化にあると分析。木の高級床材に住空間の価値を引き上げる機能があることを提案し、他社との競争力につなげたことで売上げが伸びていきました。
「この15年ほどでマーケットが大きく変化しました。床材の中高級市場は全体の50%近くになり、ある市場調査では床が家のこだわりポイントで第3位にまで躍進しています。床は、家のなかで面積も広く、直に触れている時間も長いでしょ。それに足の裏は敏感なので、触れ心地次第で住空間の満足度が大きく左右されるんですよ。本物を使うことで健康面と視覚面の価値がぐっとあがりますから。」
03
20万種類の木に対する
尊敬とおそれを、強みに。
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20万種類の木に対する
尊敬とおそれを、強みに。
加工しやすいと思われがちな木材ですが、その種類は世界で20万種にもなり、水分の含み方がちがえば、森から切り出したあとの乾燥具合のコントロールも難しいものです。材料の調理方法をよく知っているのが朝日ウッドテックの強みのひとつだと石上は考えています。
「100年以上も木材を扱ってきたDNAが蓄積されています。知り尽くしているからこそ、木という素材に対して尊敬する気持ちと、おそれる気持ちを常に持ち続けています。だから、木に関しては誰ひとりとしていい加減なことを言いません。木を知り、愛着と熱意をもって語ることができます。そのどこにも負けない知識と技術で取引先様の経営課題に貢献できること、やっぱりそれが一番の強みじゃないかな。」