リフォームの後悔、第1位は…床
後を絶たない後悔の声。「ケチって失敗、第1位」は床
床は暮らしの質を支える要といっても過言ではありません。なぜなら生活の中でまず目に入る場所だからです。人の視野は斜め下の方向が広くなっているため、床は自然と記憶に残るものになります。モデルルームで「この部屋ステキ!」と声が上がる空間には、大体上質な床が張られています。さらに、いい床は上に乗っている家具を引き立てます。素晴らしいお皿に盛り付けられた料理が、美味しそうに見えるのと同じです。逆に床が安っぽいと、インテリア全体も残念に見えてしまいます。
リフォームの予算をオーバーした際、床のグレードを落として調整するケースが少なくありません。しかし、それは絶対に止めるべきです。私が経験してきた数多くのリフォーム現場、ご相談の中で、「ケチって失敗、第1位」は床なのです。せっかくなら後悔しないように、フローリングを本気で選びましょう。
床で空間イメージの全てが決まるからこそ「本気の選択」を
見た目や肌触り、劣化速度までピンキリの商品がひしめくフローリング。素肌に触れる場所だからこそ、素材は天然木を選びたいものです。しかし、木は生き物なので、そのままでは乾燥で反りや割れが起きたり、湿気で膨張したり、傷やシミになりやすかったりと扱いが楽ではありません。そこで注目したいのが、天然木の風合いと扱いやすさを兼ね備えた複合フローリング。その一つである「挽き板フローリング」は、天然木からノコギリで挽いて切り出した2mm厚の挽き板を、合板と組み合わせた床材です。本物の木の重厚感と美しさを活かしながら、寸法安定性や施工性など総合的に機能を高めています。
複合フローリングは厚みや仕上げに応じてさまざまな種類があるため、目的・予算に合わせて選べます。「突き板フローリング」と呼ばれる表面に厚さ0.3mmの天然木を貼ったタイプなら、挽き板フローリングよりも手頃な値段で天然木の風合いを楽しめます。この他、表面に木目をプリントしたシートを使用する「シートフローリング」もあります。
床は空間イメージを決める大きな存在です。作りたいインテリアに合わせて、樹種はもちろん、表面の仕上げ方法や幅、ツヤにもこだわって選びましょう。部屋全体の完成度が格段に上がります。
暮らしの心地よさを左右する。「未来」のために必要なこと
リフォームとは、不具合を直し、汚れた物をきれいにすることではありません。これからの20年30年をどう心地よく暮らしていくのか、そのための大切な舞台を築く行為なのです。だから私はずっと「過去を繕うのではなく、未来をつくるのがリフォーム」とお伝えしてきました。いい床の上で暮らすと、毎日が自然と楽しくなります。まずはご自宅の床を一度見て触ってください。そして、フローリングのショールームに行き、ぜひ素足で床に上り、座って寝転んでその感触を確かめてみてください。きっと、ずっと座っていたい床が見つかります。