Live Natural for Dog

開発ストーリー トークセッション

天然木と共に実現する、
人と犬の快適な暮らしとは。

人が住まいに求める居心地のよい上質な空間。
その演出に欠かせないひとつがフローリングです。
天然木ならではの美しい木目と艶。
足をしっとりと支える安定感と温もり。
その魅力を、愛犬との住まいづくりに
どう昇華したのか。
開発者と、犬との暮らし方に詳しい
お二方に語っていただきました。

  • 愛犬と住まいのコンサルタント
    梅津基世人
  • 朝日ウッドテック開発者
    佐々木大輔
  • 一級建築士
    前田敦

滑り対策と
足裏のケアが効果的

佐々木 私自身、2匹の犬と暮らしています。年齢が上の犬がマットやクッションの上で過ごすことが多くなり、意識して様子を見ているとフローリングの滑りを気にしていることに気づきました。カーペットやラグマットを敷いてあげているのですが、フローリングメーカーの人間としては天然木の美しさが隠れてしまうことに葛藤もありました。そこで、犬対応の天然木フローリングは需要があるはずだと考え、開発プロジェクトがスタートしました。

犬種の特性に合わせて
環境を構築することが
大切です

梅津 その気づきはとても大切ですし、もっと言えば犬を飼う人はあらかじめ特性を理解する必要があります。近年の統計では、コロナ禍により癒しを求めて新規に犬を飼われる方が増えています。今は室内飼いが大半ですが、ゆえに関節疾患と皮膚疾患が増え大きな問題となっています。人気犬種の多くは膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)や椎間板ヘルニアなどの固有の病気にかかりやすく「床の滑り」は禁物です。また、カーペットやラグを使うと、ノミ・ダニによる皮膚炎を起こすことがある点も知っておいていただきたいことです。

1年以内新規飼育者の飼育頭数

犬の品種ランキング(全年齢)

自然に近い素材の
心地よさは
生き物としての本能が
求めるもの

前田 天然木を建材として使うことは、人間が本能的に求める心地よさのために大切なことです。家は、温かさと落ち着きを感じる癒しの空間です。対照的に、オフィス空間は鉄やコンクリートが使用されています。癒しより、機動性や生産性が必要な空間だからです。それは犬にとっても同じ。天然木の感覚的な温かさや、調湿効果のある機能性は犬の快適につながります。しかし、人間と犬は同じ住まいの中でも暮らし方が異なるので、そこに配慮した天然木の活用方法に気をつけなければなりません。

佐々木 私たちも天然木にこだわるフローリングメーカーとして、他にはない温かさや癒しを大切なものとして考えています。その魅力に、新たに「滑り」を抑える床を開発しました。犬と飼い主さまにとって有用な商品となりそうでしょうか。

前田 愛犬との暮らしでいちばん大切なのは、生活の大部分を過ごす床です。人工的ではない居心地のよさは魅力的ではあるものの、決して滑りにくいとは言えない天然木フローリング。どんな工夫で「滑り」を抑えたのか。また、どんなシチュエーションや犬種を想定したのかをぜひ聞かせていただきたいです。

正常な膝蓋骨の状態

滑り等により膝蓋骨脱臼を起こした状態

膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)は、先天的または遺伝的な要因から発症する以外にも、
高所からの飛び降りや強い外力、ねじれや床の滑りなど様々なケースから発症を誘発する可能性があります。

室内で犬を飼うなら
動線や疾患まで考えた
家づくりを

前田 愛犬と暮らす家を専門とする建築家として、まず大切にしているのは「家族の一員としての犬に対する想いをどう実現するか」です。例えば、家族に足の不自由な人が居たら、その人が過ごしやすい対応を考えます。犬も同じなのです。目線が低く、4本足で歩くという個性に合わせた家の在り方を試行錯誤した結果、スロープが最も有効だと気づきました。私の建築を代表するモチーフとなっていますが、何も特別なことをしている訳ではありません。人がどう行き交うか、犬がどう行き交うかの動線を大切に考えた結果の手法なのです。

佐々木 犬への想いをいかに実現するかという視点は非常に興味がありますし、今回のフローリングの開発もまさにその気づきが発端でした。「Live Natural for Dog」は、小型犬との暮らしを想定して滑りにくさを実現しています。

梅津 先にも述べましたが、人気犬種の多くは膝蓋骨脱臼を発症する可能性が高いです。多くは先天的または遺伝的な原因とされていますが、滑りにより無理な力がかかったり転倒や骨折などが発症を誘発させることがありますので、滑りにくい床を使うことは必須条件だと思います。

到底納得いかない
試作品から
あらゆる試行錯誤を
繰り返す日々

佐々木 開発でいちばん苦労したのが、見栄えと機能の両立です。滑りにくさを生む最もシンプルな方法は塗装面に凸凹をつけることですが、最初の試作品はザラザラした手触りが天然木とは言い難いものでした。塗装の粒子サイズを変えて様々なプロトタイプを製作したものの、納得いくものはできませんでした。そこで考えたのが、塗装の樹脂を柔らかくしてグリップ力を生み出す方法です。柔らかくすることで生じる「汚れやすさ」「傷つきやすさ」を抑えながら「天然木の美しさ」と「滑りにくさ」を損なわない調合を、塗料メーカーと何度も協議して試作を重ねていきました。

前田 一般の住宅用天然木フローリングと比較しても、見劣りしない美しさだと感じます。グリップ力を出すためにあえてカーペットを使っていた場所の床材として置き換えるなど、建築の幅を広げてくれる期待感も高まりますね。

佐々木 高級感を保つことは、朝日ウッドテックとしての至上命題でした。納得いく仕上がりが見えてきたのは、プロジェクトスタートから3年半が経過した頃でした。本当に目標が達成できるのか、途中で何度も心が折れそうになりました(笑)。

実際に犬が床の上で
過ごす姿を見て
「これなら大丈夫」と
自信が持てました

佐々木 床材の滑りにくさの指標として、東京工業大学で開発された測定方法「C.S.R」というものがあります。床の上に物を置いて引っ張った際の抵抗力を測るのですが、その犬用の数値「C.S.R・D’」を測定するテストを梅津さまの協力のもと公平な第三者機関で実施しました。ゴム片に麻を被せて肉球と同様の滑り抵抗を持たせた肉球モデルを使用して、当社が定めた目標値をクリアしています。また、数値だけではなく、実際の感覚も大切にしました。靴下を履いて上を歩いた時に滑りにくさを感じるか人為テストも繰り返しおこない、安心してもらえる仕上がりになったと感じています。

梅津 私の知人のドッグインストラクターや、犬と宿泊できる貸別荘オーナーの愛犬にもテストに参加してもらいました。飼い主さんたちも、愛犬が歩きやすそうだと感じられたみたいです。アドバイザーとして開発に関わらせていただいていますが、満足いく結果が出て嬉しい限りです。愛犬家の皆様に、ぜひこの商品を知ってもらいたいですね。

佐々木 「天然木フローリングを隠したくない」というこだわりを持つ、本物志向の飼い主さまにも満足いただける仕上がりになったと思います。


天然木の美しさと滑りにくさを両立。

天然木だけが実現できる「不揃い」の美しさ。

現状はまだ
スタートの第一歩
さらなる進化に
期待してしまいます

前田 実際に商品を拝見させていただき、私自身も上を歩かせていただいたことで、見た目の美しさも防滑性も想像を超えるクオリティだったことに驚きました。塗装でコーティングしているにも関わらずテカテカ感もなく、木目の重厚な美しさもくっきりと表現されています。世に出す商品として十分な仕上がりだと思います。天然木に対するこだわりを揺るがすことなく、機能性をしっかり持たせている朝日ウッドテックの技術力の高さに感心しました。天然木そのものの味わいを生かしながら、次はどんな性能を加えた商品が登場するのかに期待してしまいます。それだけ、この商品の完成度が高いということです。

梅津 新型コロナウィルスの影響で「安心」への関心が高まり、今までの「抗菌」に加え「抗ウィルス」の機能を持った製品が求められるようになりました。お散歩から帰って足を洗っても菌やウイルスが気になりますので、抗ウイルスの床は安心感が増します。今後は床だけでなく、収納やドッグスペースなど様々なアイテムの開発をぜひお願いします。また、より快適な環境を考えると床暖房に対応していることや、既存の床に直接貼れるリフォーム用タイプがあることも見逃せない点ですね。

天然木へのこだわりは
欠かさずに
愛犬と飼い主の気持ちに
応え続ける

佐々木 正直、前田さん、梅津さんの両名に商品を見ていただくまでは「どんな反応をされるのだろうか」と緊張もありました。しかし、お二方の好意的なご意見は大きな自信になりましたし、さらなる可能性を真摯に考えていただけたことに本当に感謝しています。今回の対談で、商品開発へのモチベーションがよりいっそう高まったように感じます。犬は気持ちや考えを言葉で伝えることはできません。だからこそ、人が進んで犬にやさしい環境をつくってあげることが大切です。その中で、人が暮らしに求める高級感や美しさもしっかりと確保することが、人と犬が共存する住まいづくりに大切な視点だと考えています。「愛犬を家族として大切に想う」そんな飼い主さまの気持ちに寄り添う、天然木にこだわった商品づくりをこれからも目指していきたいです。

梅津基世人(写真左)
1961年生まれ。WOODY PLANNING代表。愛犬との住まいのプランニング、愛犬家向けのイベント企画・コンサルティングを行う。東京工業大学で行われた「床の滑り抵抗係数(「C.S.R・D’」)」の測定試験に協力。
佐々木大輔(写真中央)
1979年生まれ。朝日ウッドテック商品部。スマート建材開発室のリーダーとして業務に励み、今案件の責任者を務める。天然木の魅力をより多くの人に伝えるべく、新たな可能性を追求し続ける。
前田敦(写真右)
1958年生まれ。一級建築士。ペットとの共生住宅を設計監理する第一人者。「コミュニケーションの場をデザインする」家づくりが注目を集める。メディア掲載歴多数。

商品ラインナップ

木下地用(戸建住宅用・マンション二重床用)

ライブナチュラルプラス for Dog

犬にやさしい滑りにくさを実現したフローリング

木下地用(上貼り用)

ライブナチュラルMSX
スーパー6 for Dog

リフォームにも最適な犬にやさしい滑りにくさを実現したフローリング

コンクリート下地用(マンション直貼り用)

ライブナチュラルMSX
ネダレス 145 for Dog(L-40)

犬にやさしい滑りにくさを実現したマンション用直貼り防音フローリング