現在、世界には700～800種類の犬がいるといわれています。このうち、純粋犬種の保護や質的向上などを目的に活動する日本国内の団体「JKC（一般社団法人ジャパンケネルクラブ）」には、約200種類の犬種が登録されており、その性質や用途ごとにグループ分けされています。

この記事では、JKCの「第3グループ」に該当するテリア種に注目し、その性質や主な犬種をご紹介します。飼育する際の注意点やAKC（アメリカケネルクラブ）と公認犬種数が異なる理由についても解説します。

テリアは主にキツネやウサギなどを狩る目的で作出された犬種で、活発で好奇心旺盛、怖いもの知らずでとてもエネルギッシュです。

頑固・勇敢・大胆・機敏・活発・忠実など、獲物を追い詰めるために必要な要素をまとめて「テリアキャラクター」と呼びます。テリアキャラクターの濃淡は犬種や個体によって異なりますが、テリアの「本能のままに生きる」性格は、まさに狩猟犬らしいといえるでしょう。

＜日本で人気の高い主なテリア種＞
ヨークシャーテリア
ジャックラッセルテリア
ウェストハイランドホワイトテリア（ウェスティ）
スコティッシュテリア
ケアーンテリア
ブルテリア
ノーフォークテリア
ノーリッチテリア

■特徴的な見た目が可愛いノーフォークテリアについては、以下の記事もご覧ください。
・ノーフォークテリアの魅力！ダブルコート犬特有の抜け毛とフローリングの関係

家庭犬として飼育されるようになった今も、テリア共通の気質はしっかりと受け継がれています。明るくフレンドリーでありながら確固とした独立心や強い警戒心を持ち、自分の意思に基づいて行動するため、番犬にも適しています。犬種によって性格に細かな違いがあるのも、「一度飼ったらとりこになる」といわれる所以かもしれません。

「第3グループ」としてJKCに公認されているテリア種は、2025年2月時点で32種類です。このなかには、先ほど紹介したヨークシャーテリアやジャックラッセルテリア、ウェスティなども含まれており、どの犬も個性的な魅力があります。

なお、JKCとAKCでは公認犬種の数が異なりますが、これには犬種ごとの歴史や国内での需要、飼育状況などさまざまな背景があります。犬種の公認に関しては各国の犬種協会がそれぞれの基準に基づいて判断しており、必ずしも世界共通ではないと理解しておきましょう。

＜参考URL＞
https://www.jkc.or.jp/archives/dog_category/breed_03g

テリア犬の多くは小型から中型ですが、毎日しっかり運動させることが大切です。特に若い頃は、運動不足によるストレスが原因で吠え癖や噛み癖、破壊などの問題行動が起こりやすく、要注意です。有り余るエネルギーを発散させるためにも、毎日2回は散歩に連れ出し、暑い日や雨の日は室内で楽しめる遊びを取り入れるとよいでしょう。

犬種や個体による差はありますが、一般的にテリアの小型種に必要な運動量は1日あたり30～90分程度といわれています。テリア種のなかでも特にジャックラッセルテリアやボストンテリアなどは必要とする運動量が多く、歩いているだけでは十分に発散できないことも少なくありません。散歩の際はただのんびり歩くのではなく、早歩きでペースを変えたり、ドッグランなどで思いっきり走らせてあげたりするのがおすすめです。

なお、ヨークシャーテリアはテリア種でありながら必要な運動量が少なく、1日2回・各10分程度の散歩で十分エネルギーを発散できるので、無理に歩かせたりする努力は不要です。ほかの犬種も同じく、過度な活動はかえって足腰に負担をかけるため、日々の運動は適正な範囲内にとどめておきましょう。

■小型のテリア種に多い関節トラブル「膝蓋骨脱臼（パテラ）」については、以下の記事でも解説しています。
・ジャックラッセルテリアは活発ゆえにパテラになりやすい？

■ヨークシャーテリアの飼い方については、以下の記事もご覧ください。
・ヨークシャーテリアは怖がり？無駄吠えしないためのしつけと飼い方
・ヨークシャーテリアが一番甘えん坊？性格や寿命は？健康管理について知ろう

なお、運動量やしつけにかかる時間などを考えると、テリアは決して初心者向きではありません。賢く一度覚えたことは忘れない反面、気が強く頑固な犬も多く、しつけには長い時間を要すると覚悟しておくべきです。

一方で、根気よく犬をしつけることに慣れている人や、日々の散歩や運動を楽しんでできる人はテリアを飼うのに向いています。テリアを迎えたいと思ったときは「少し癖があるところもテリア種の魅力のひとつ」と受け入れられるかどうか、じっくり考えてみてください。

JKC「第3グループ」のテリア種は、ほかのグループにはない個性的な魅力を持った犬ばかりです。体の大きな相手や初めて見るものにも臆さず立ち向かう勇敢さは、テリア種ならではの気質といえます。JKC公認のテリア種には、チェスキーテリアやジャーマンハンティングテリアなど日本では見かけない犬種もあるので、原産国や歴史、性格などを調べてみるのも楽しいかもしれません。

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石川 美代子

犬の管理栄養士、動物ケアスタッフ、動物医療技術師、犬の美容師（トリマー）。卒業後は動物看護師として動物病院に勤務し看護業務に従事。現在はwebライターとして主にペット関連記事の執筆、ペット用品・記事の監修などを行う。