COLUMN #7
W E Bライター 伊須田利恵
戸建て住宅との一番の違いは、ペットの飼育に関する管理規約があり、それがそれぞれのマンションにより異なっていることです。「ペット可」は最低条件としても、犬の場合だと、大きさなどの条件があることが多いので、分譲・賃貸に関わらず入居の契約前にしっかり確認しておく必要があります。( 例えば「体重1 5 k g 未満を2頭まで」など)
最近では「ペット同伴用のエントランス」があるマンションも見かけるようになりました。専用の足洗い場や居住者専用のグルーミング室があると、毎日のお散歩時にも便利ですね。またマンション独自の「会員制ペットクラブ」があり、プロのトリマーによるケアを受けられるサービスなども聞くようになりました。「ペットは家族」という言葉も定着してきて、ペットに対する対応や設備も豊かになってきましたが、基本となるペットマナーをしっかり守ることがやはり重要です。共用部の利用の際には、規約を守るだけでなく気遣いも大事です。
● 犬同伴用のエレベーターがある場合は必ずそれを使い、犬同伴をお知らせボタンがある場合は忘れずに押す。
● 廊下やエントランスを通る時にはキャリーバッグや犬用のバギーを利用する。
● 共有部分とされるバルコニー等のペット利用規約( 例えば「ブラッシング禁止など」)を守る。
など、他の入居者に対する配慮をすることでお互いに、人も犬も快適に過ごすことにつながると思います。また、バルコニー等にワンちゃんを出していなくても、毛の付いたマットをはたいたりすれば隣室や下階の方の洗濯物を汚してしまうことがありますので、注意が必要です。
廊下への飛び出し防止やバルコニー等などからの転落防止などの安全対策も必要です。特に高層
階の場合、転落は命にかかわる事故になりかねません。
などが有効な手段になります。
また、屋内の事故としては転倒による骨折や関節疾患などにも気を付けたい点です。防止策として滑りにくい床にするリフォームもおすすめです。敷くだけのフロアマットやフローリング用のコーティング剤、今ある床の上から貼れるリフォーム用フローリングなど、様々な方法があります。また、併せてペットドアやキズや汚れに強く臭い対策のある壁紙などのリフォームもおすすめです。集合住宅であるマンションでは、愛犬の足音や吠え声など、音に対する配慮も必要です。もちろん個体差がありますので、すべてのワンちゃんが該当するわけではありませんが、体重がある、活発に動きまわるなどの場合は足音が階下に響くことがありますし、吠え声の大きい場合は隣室とのトラブルにもなりかねません。足音対策としては防音床や防音マットなどの使用が有効ですし、簡単に後付けできる防音壁( 防音ボード)も市販されています。
万一の災害の備えとして、人と同様に愛犬用の防災グッズを準備しておくことはとても重要です。もしもの場合、人の食糧は備蓄されていたり、配布がある場合が多いですが、ペットについてはあまり考慮されていません。
最低限これらのものを、すぐに持ち出せる防災バッグにいれて部屋に置いておくと安心です。また、寒さ対策として収納も便利なアルミ保温シートは、シャカシャカ音を怖がる犬も多いので、静音タイプを選ぶと避難所でも使用しやすいです。
同じマンションや、近隣マンションの飼い主さん・ワンちゃんとのコミュニケーションはとても楽しいものです。マンション敷地の緑地がペットの通行が可能となっていることも多くなりました。散歩時に出会った近所の飼い主さんと喜んで挨拶したり、愛犬同士が遊んでいる様子はとても微笑ましいです。マンション内にドッグランが併設されている場合もありますので、お互いが行き来したり、ペットグッズやフード、近隣動物病院や犬同伴可能施設の情報についても共有できます。マンション屋内飼育のペットが増えたことで、室内で楽しく安全に楽しめる遊具も充実しています。オヤツ探しでできるクンクンゲーム用シートもそのひとつです。
ペット飼育可のマンションが増えたことは嬉しいですが、犬を飼っている人も飼っていない人も快適に暮らすための共存について考えることも必要となりました。共用部分が多いマンションで愛犬と暮らすには、規約やマナーを守ることや思いやりの心が必須です。住居内やマンション周辺での過ごし方やちょっとした気遣いによってトラブル回避にもなり、お互いの良い関係を保つことが愛犬の終生飼育にもつながります。犬が居ることで家族やマンション居住者同士の笑顔がえ、犬も人も楽しく健康に暮らす。ぜひそういう素敵なペットライフをお過ごしください。
伊須田利恵
ヨークシャーテリアのマルゴ&ミネットとマンションで暮らすWe bライター。犬と住まいに関しての知識を生かし、リビング新聞社の地域情報に関するコラムなども担当。