柴犬は日本の象徴ともいえる犬種で、凛とした姿やユニークな性格から多くの人に愛され、国内では常に人気犬種ランキングの上位を占めています。柴犬には洋犬にはない魅力がありますが、生活をともにするには正しい知識に基づいて適切に接することが重要です。

この記事では、柴犬の性格や寿命、しつけのポイント、日本犬ならではの魅力を紹介します。すでに柴犬と暮らしている方、これから柴犬を家族に迎えたいと思っている方はぜひ参考にしてください。

柴犬は体高36.5～39.5cm前後、体重8～10kg前後の小型犬で、くるっと巻いた尻尾と立ち耳が愛らしい犬種です。毛色は赤が一般的ですが、ほかにも黒や白、胡麻などさまざまなカラーがあり、年齢とともに色合いが変化する犬もいます。特に胡麻柴は成長するにつれて毛色のバランスが変わっていくので、生まれたときとは印象が一変するケースも多いでしょう。

被毛は寒さに強いダブルコートで、オーバーコートとアンダーコートの二重構造です。トリミングで毛をカットする必要はありませんが、春と秋の換毛期には多くの毛が抜けるため、毎日のブラッシングで抜け毛を取り除くことが大切です。

なお、柴犬は犬のなかでも特に歴史が古く、イノシシやシカを狩るための優れたパートナーとして古代から人々に重宝されていたともいわれています。縄文時代の遺跡からは柴犬の先祖である「縄文柴」の墓や骨が発見されており、縄文人と柴犬の密接な関係がうかがえます。

近年はハリウッド映画などをきっかけに海外でも日本犬が知られるようになり、メディアやSNSを通じて柴犬の魅力が世界中に発信され、人気が高まっています。

■柴犬以外の日本犬については、以下の記事もご覧ください。
・日本犬の魅力！柴犬、甲斐犬、紀州犬など、天然記念物に指定される犬たち

猟犬や番犬として長きにわたり人間とともに暮らしてきた柴犬は、とても敏感で警戒心が強い性格です。信頼している飼い主には深い忠誠心を示し、心を開いた相手には義理堅く接するなど「武士のような犬」ともいわれます。

また、自立心が旺盛でベタベタした関係を好まず、好きな相手にも適度な距離感を保ちます。嫌なことは嫌とはっきり主張したり、不満を態度で表したりする犬も少なくありません。人間との主従関係がしっかり築けていないと噛む、吠えるなどの問題行動がみられる場合もあるため、接し方には注意が必要です。

柴犬の良い面を引き出すには、子犬の頃からしつけを徹底することが重要です。単に厳しく接するだけではなく、毅然とした態度でリーダーシップを示すことが柴犬に信頼されるための秘訣です。飼い主以外の人やほかの動物とも上手にコミュニケーションが取れるよう、じっくり時間をかけて社会性を育みましょう。

■柴犬の魅力や柴犬カフェについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
・柴距離とは？豆柴が可愛い「柴犬カフェ」人気が急上昇な理由

『アニコム 家庭どうぶつ白書2024』によると、柴犬の平均寿命は14.7歳です。日本犬のなかでも特に柴犬は長生きするケースが多く、トイプードルやダックスフンドなどの長寿犬種に次ぐ寿命の長さを誇ります。日本原産の柴犬はわが国特有の気候や環境に適した体質で、高齢になっても健康を維持しやすいことが長寿の要因かもしれません。

一方で、柴犬は皮膚や目の病気にかかりやすい犬種でもあります。特に皮膚に関しては、アトピー性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎、内分泌疾患による皮膚トラブルなどさまざまなリスクがあるため、日頃から注意が必要です。

また、高齢になると認知症の症状が出る犬もいて、昼夜が逆転して夜鳴きなどの行動がみられる場合もあります。散歩に連れ出したり知育玩具で遊ばせるなど、昼間の時間をなるべく活動的に過ごせるよう工夫すると正常な生活リズムを維持しやすくなります。愛犬が元気なうちから規則正しい生活を心がけるとともに、加齢によって体が衰えても生活しやすい環境を整えることも大切でしょう。

その他、柴犬の基本的な特徴や注意するべき病気については、以下の資料をご覧ください。

■柴犬の寿命を延ばす飼い方については、以下の記事でも紹介しています。
・ひとり時間が好き？忠誠心の強い柴犬がツンデレといわれる理由

柴犬は日本犬らしく、飼い主への忠誠心や独立心、警戒心が強い古風な性格です。かつて猟犬として活躍していたという背景もあり、上手にしつければ多くのことを覚える賢さも柴犬の大きな魅力といえるでしょう。

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石川 美代子

犬の管理栄養士、動物ケアスタッフ、動物医療技術師、犬の美容師（トリマー）。卒業後は動物看護師として動物病院に勤務し看護業務に従事。現在はwebライターとして主にペット関連記事の執筆、ペット用品・記事の監修などを行う。