COLUMN #66
動物医療技術師 石川 美代子
トリミングは、美容面だけでなく愛犬の健康管理や衛生状態を保つためにも必要です。犬が安全で快適な生活を送るために欠かせないケアですが、どのような内容で依頼すればいいのか、どのくらいの頻度でおこなえばいいのかなど、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、犬のトリミングの目的や頻度、トリミングが必要な主な犬種を紹介します。トリミングサロンを選ぶときのポイントも解説するので、愛犬のトリミングについて疑問がある方はぜひ参考にしてください。
犬のトリミングとは、ハサミやバリカンを使って被毛をカットし形を整えるお手入れのことで、衛生面や安全面をケアし、犬が快適な生活を送れるようにするのが主な目的です。毛の中への異物の侵入やノミ、ダニの繁殖などを防ぐためにも役立ちます。
特にシングルコートの犬は毛が伸び続けるため、定期的なトリミングが欠かせません。毛が長くなりすぎるともつれて痛みが出たり、皮膚の通気性が悪くなって皮膚病にかかりやすくなったりする可能性があります。また、肉球に毛がかかると滑りやすくなり、転倒による骨折や脱臼のリスクが高まるため、被毛のカットは適切な頻度でおこなうべきでしょう。
その他、犬との暮らしに潜む危険とその対策については、以下の資料をご覧ください。
なお、犬のケアには「トリミング」と「グルーミング」の2種類がありますが、両者を混同している方もいるかもしれません。トリミングは犬の毛をカットして整えることを指すのに対し、グルーミングはブラッシングやシャンプー、爪切り、耳掃除など全般的なお手入れを含みます。いずれも犬にとって重要なケアで、適切におこなって安全で快適に過ごせるようにすることが大切です。
<サロンにおける犬のケアの主なメニュー>
・シャンプー
・ブラッシング
・被毛のカット
・爪切り
・耳掃除
・肛門腺絞り
※サロンによって内容は異なります。
適切なトリミングの頻度は犬種や被毛の長さによって異なりますが、一般に毛が伸びやすい犬種では定期的なトリミングが必要です。たとえば、トイプードルやシーズー、ビションフリーゼ、マルチーズなどは、月に1度は毛をカットしたほうがよいといわれています。ポメラニアンやロングコートチワワなど毛が絡まりやすい長毛犬種も、同様に月に1度のトリミングがおすすめです。
一方で、パグやフレンチブルドッグ、スムースチワワなど毛が短い犬種の場合、基本的にトリミングは不要です。柴犬や甲斐犬などダブルコートの日本犬も、あえて毛をカットする必要はないでしょう。定期的なシャンプーや爪切り、足裏やお尻周りの部分カットなど、ベーシックなケアで清潔な状態を維持してください。
■犬の被毛の種類については、以下の記事で詳しく紹介しています。
・シングルコート犬とダブルコート犬の違い。毛が多い犬種とフローリングの関係は
愛犬のトリミングを安心して任せるには、信頼できるトリミングサロンを選ぶことが大切です。トリミングは衛生的な環境でおこなうことが重要なので、まずはサロン内が清潔に保たれているか、バリカンやハサミなどの道具が適切に管理されているかといった環境面をしっかりチェックしておきましょう。
また、動物を扱っている以上ある程度仕方がないとはいえ、内装の汚れや傷が放置されている、においへの対策が講じられていないといったサロンは、衛生面への配慮が十分でない可能性があります。HPで確認するほか、実際に愛犬と一緒に店の雰囲気を見に行ったり、地域での評判やネット上のレビューを参考にしたりして、清潔で居心地のよいサロンを探してみてください。
次に、料金設定やサービス内容についても確認しましょう。金額が明確であるのはもちろん、予算に応じた柔軟なプランが用意されていると継続的に利用しやすくなります。特にトイプードルやビションフリーゼなど頻繁なトリミングを必要とする犬種を飼っている場合、価格もサロン選びの大切なポイントです。相場に対してあまりにも安い店には注意しつつ、適正価格を提示しているサロンを選ぶようおすすめします。
定期的に通うならスタッフとの信頼関係が築けるサロンであることも重要です。ペットの性格や健康状態を把握した上で誠実に対応してくれるトリマーがいると安心でしょう。トリミングの際に普段の生活では気付きにくいわずかな体調の変化や傷、しこりなどが見つかることもあるため、ぜひ信頼できるトリミングサロンを見つけてください。
犬のトリミングは、日々の健康管理や衛生状態を保つために欠かせないお手入れです。毛の長さや犬種によって適切な頻度は異なるため、まずは愛犬にふさわしいタイミングを見極めることから始めましょう。トリミングサロンを上手に活用しながら毛質や生活スタイルに合ったケアを心がけ、愛犬との暮らしを楽しんでください。
美しい天然木フローリング「Live Natural for Dog」は、抜け毛が多い犬や毛が長い犬との生活に適した床材です。主に小型犬に配慮し適度な滑りにくさを持たせた構造で、天然木ならではの温かな質感にもこだわりました。犬に優しくデザイン性の高いフローリングをお探しの方は、ぜひ導入をご検討ください。
■犬の抜け毛対策とフローリングのお手入れについては、以下の記事をご覧ください。
・ノーフォークテリアの魅力!ダブルコート犬特有の抜け毛とフローリングの関係
石川 美代子
犬の管理栄養士、動物ケアスタッフ、動物医療技術師、犬の美容師(トリマー)。卒業後は動物看護師として動物病院に勤務し看護業務に従事。現在はwebライターとして主にペット関連記事の執筆、ペット用品・記事の監修などを行う。