Live Natural for Dog

COLUMN #6

家庭でもできる愛犬のお手入れ

ドッグトレーナー 石田恵美

犬種によるお手入れの違い

同じ犬でも犬種によって大きさも骨格も毛も変わるのでお手入れの仕方にも違いがあります。特に被毛のお手入れに違いが出るので、ここでは「毛」についてお話します。犬と暮らしているとどうしても気になるのが「抜け毛」。この抜け毛、ワンちゃんによって抜け方に違いがあり、その違いの理由は毛の生え方にあります。

シングルコートとダブルコート

犬の被毛タイプは2 種類あり、シングルコートとダブルコートに分かれます。

 

シングルコートの特徴

オーバーコート(上毛)のみ生えています。毛が抜けにくいのが特徴。代表的な犬種はトイプードル、ヨークシャーテリア、パピヨン、マルチーズ、ミニチュアピンシャー、アメリカンコッカースパニエルなど。

 

ダブルコートの特徴

アンダーコート(下毛)とオーバーコートが生えています。毛が抜けやすいのが特徴。代表的な犬種はポメラニアン、ダックスフンド、フレンチブルドッグ、柴犬、ラブラドールレトリバーなど。

 

ミックス犬のコート

最近はミックス犬が増えてきていますが、親がシングルとダブルの場合があるのでどちらになるかはわかりません。
また犬種によって本来シングルコートとの犬種なのにダブルコートになる場合もあります。おうちのワンちゃんがどっちかわからない場合は実際に目で見て確認してみましょう。毛をかき分けてすぐに地肌が見える場合はシングルコート、柔らかい毛(ほわほわした毛)がびっしり生えている場合はダブルコートです。

 

( 左)シングルコート ( 右)ダブルコート

(左)シングルコート (右)ダブルコート

コート別お手入れのポイント

毛の種類がわかったところでそれぞれのお手入れのポイントです。

<シングルコート>

毛が伸び続けるタイプの犬は定期的にトリミングをしなくてはいけません。毛も絡まりやすいのでピンブラシやスリッカーなどで毛玉にならないよう最低でも2 , 3日に1 回はブラッシングが必要です。短毛の場合はラバーブラシでブラッシングすると、抜けた毛を取り除いたり皮膚のマッサージ効果もあります。

<ダブルコート>

アンダーコートは柔らかく細かいので非常にもつれやすく毛玉になりやすいです。毛玉になってしまうと皮膚が引っ張られてワンちゃんが苦痛に感じたり、不衛生にもなるので皮膚のトラブルが起きやすくなります。スリッカーブラシ等の抜け毛や毛玉取り専用ブラシでこまめにブラッシングをしてください。

 

スリッカーブラシ

スリッカーブラシ

季節ごとのお手入れ

動物には換毛期というものがあります。犬は春頃と秋頃の年2 回。この時期は毛の生え変わりの時期なのでたくさん抜けます。特にダブルコートの犬は毎日ブラッシングしてもかなりの量が抜けます。抜けた毛がそのまま残っていると皮膚に良くないので、取り除くようにこまめにブラッシングをしましょう。

<夏>

高温多湿で被毛の中は菌が繁殖しやすい状態です。皮膚疾患のリスクが高くなります。いつも以
上にお手入れに気を使い清潔に保つようにします。お手入れ時の注意点は「しっかり乾かすこと」。シャンプーなどした後のドライ、手足を洗った後、濡れた布(ウェットシート)などで拭いた後はドライヤーを使いよく乾かすようにします。湿った状態で放置するとそこから菌が繁殖したり、皮膚が炎症を起こしたりすることがあるからです。ノミやダニも繁殖しやすい時期なので、お手入れの時に皮膚についていないかよく確認しましょう。

<冬>

夏とは逆に湿度が低いので乾燥しやすい時期です。皮膚が乾燥してしまうと皮膚のバリア機能が低下して少しの刺激でも敏感に反応し痒みの症状が出たりします。またウイルスや菌が体内に入り込みやすく、アトピー性皮膚炎やアレルギーを持っている子は症状が出やすくなります。痒くて掻いたり舐めたりするとそれがまた刺激になり、さらなる痒みに繋がります。掻いたりすると傷にもなり、よりバリア機能が低下してしまいます。対策のお手入れは「保湿」です。保湿スプレーやジェルを乾燥が気になるところに使います。シャンプーのあとは必要な脂まで落ちてしまうので保湿を忘れずに行いましょう。毛が薄いところ(お腹、脇など)は乾燥しているか分かりやすいのでチェックしてみてください。

病気の早期発見

普段からこまめにお手入れをしていると、体の変化に気づきやすく病気の早期発見にも繋がります。

出来物や皮膚の変色、大きさや太さの違いなどを意識してチェック
シャンプーやブラッシング時には皮膚の変化に注意
歯磨きの時には口腔内を確認(ニオイや色)
血行促進のためのマッサージではしこり、触られた時の反応で痛みの有無

年齢とともに出来物ができやすくなるので出来ている箇所、形状、数を記録しておき定期的に変化がないかチェックすることをオススメします。

家庭で出来る日常のお手入れ

おうちで出来るお手入れは、人や犬が慣れているかによって出来ることと出来ないことが変わります。お手入れの代表的なものといえば爪切り、ブラッシング、シャンプー、トリミング、歯磨き、足裏の毛の処理、汚れの拭き取り( 目元、手足、お尻等)あります。人によって難しいものもあると思います。おうちで出来たほうがいい優先度は、頻度で考えてみましょう。

(1)毎日ケアするもの→ 歯磨きと汚れの拭き取りです。これらはおうちで出来るようにしましょう。
(2)2 、3日に1 回→ブラッシング。毛玉になってからだと犬に大きく負担をかけてしまうためおうちで出来るといいでしょう。
(3)3 週間から1か月に1 回→シャンプー、トリミング、爪切り、足裏の毛の処理。トリミングサロンや動物病院でやってもらうと安心です。

特に足裏は肉球をケガさせてしまう恐れがあるので無理は禁物。肉球は人が思うよりかなり重要な器官であり、ケガをすると長引くことがあります。被毛も足裏の毛も伸びるペースは、ワンちゃんによって変わるので定期的にチェックするようにしてください。足裏の毛はわざわざ見ようとしないとわからない箇所なので忘れないようにしてください。肉球の間から毛がはみでている場合は伸びている状態です。伸びてしまうと歩く時に毛で滑り関節に負担がかかります。また足の踏ん張りがきかないので、犬が変なところに力をいれる癖がつき、筋肉のバランスが悪くなることがあります。

 

(左)毛が肉球を覆っていると滑りやすい (右)毛がカットされた状態

<あると便利なお手入れグッズ>

ブラシ(ピンブラシ、スリッカーブラシ、ラバーブラシ、コーム)
犬の毛に合ったものを選んでください。
シャンプータオルやウェットシート
汚れた時にすぐ拭き取れます。用途別に売られています。(目元用、体用、お尻用、耳用など)
ブラッシングスプレー
被毛に潤いを与えたり、ブラシの通りをよくしたりするものがあります。
肉球に塗るクリームやジェル
乾燥や床でのすべりを防いでくれます。
歯磨きスプレーやジェル歯磨き
歯磨きは歯ブラシで行うのが理想ですが、練習中であったり歯ブラシで磨けないくらい炎症を起こしている時はこういった商品を使って口内環境をよくしてあげましょう。酵素入りがおすすめです。

さいごに

犬の特性を知ることで正しいお手入れをしてあげてください。お手入れが合っていないと逆効果になることもあります。犬種の特性だけでなく今現在の愛犬の状態を把握することが第一歩になります。がむしゃらに自分だけで行う必要はありません。プロに任せたほうがいいこともあります。毎日必要なお手入れはなるべく自分で、月に1 、2 回のお手入れはプロに任せてもいいです。特にケガをさせてしまう可能性があるものや犬に大きく負担がかかるものはプロに任せた方がいいでしょう。正しい知識と判断でワンちゃんも人も快適に過ごせることを願っています。

石田恵美
横浜にあるU l t i m a t e P l u s にてドッグトレーナーとして勤務。メンタルと体の状態を見て一人一人の悩みと性格に合ったトレーニングを提案。ワンちゃんとご家族の一番の理解者となり、家族みんなが楽しく暮らすためのサポートをしています。

商品ラインナップ

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