Live Natural for Dog

COLUMN #56

犬の年齢は人間に例えると何歳?小型犬の年齢早見表とライフステージ別の特徴

動物医療技術師 石川 美代子

ポメラニアン

「うちの子は人間だと何歳なのか」と考えたことはないでしょうか。犬の成長スピードは人よりはるかに早く、1年で人間の何年分もの歳をとります。愛犬のライフステージを把握して、それぞれの時期に合ったケアをすることは、愛犬を長生きさせるために大切です。

この記事では、犬の年齢早見表と各ライフステージの特徴、特に注意したい病気・ケガを解説します。意識したい栄養素にも触れているので、愛犬との暮らしにぜひ取り入れてみてください。

犬のライフステージとは?犬の年齢早見表と小型犬の平均寿命

犬のライフステージというのは、犬の一生をいくつかの期間に区切った段階のことです。犬のライフステージは「哺乳・離乳期」「成長期」「成犬期」「高齢期」の4つに分けられます。

また、小型犬は中型犬・大型犬に比べて歳をとるスピードがゆるやかで長生きの傾向があります。犬を迎える際は犬種や個体差もありますが、身体の大きさによる寿命の差も把握しておくと良いでしょう。以下は、犬の大きさによる年齢早見表です。

【人間の年齢に換算した犬・猫の年齢の目安】

犬の年齢早見表

引用:「捨てず 増やさず 飼うなら一生」(環境省)

なお、獣医療の進歩や飼育環境の改善により、犬の平均寿命は年々延びています。ペットフード協会「令和5年全国犬猫飼育実態調査」によれば、超小型犬の平均寿命は15.07歳、小型犬の平均寿命は14.29歳となっています。

最近は高齢でも若々しい犬が多く、14歳を超えて元気な犬も珍しくありません。上記の表はあくまで目安と考え、愛犬への適切な接し方を心がけることが大切です。

■犬の寿命について、より詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
犬の寿命を考える!犬種と寿命の関係は?ペットの健康寿命を伸ばすポイントとは

各ライフステージの特徴と注意したい病気・ケガ

お手をする犬

ライフステージの変化は、ある日突然起こるものではなく、日々ゆるやかに進んでいきます。臨機応変な対応ができるよう、各ライフステージの特徴や、注意したい病気・ケガを知っておきましょう。

●哺乳・離乳期(生後2ヵ月齢まで)
この時期は犬の一生で最も成長が早い期間に当たるので多くの栄養が必要です。しかし、一方では消化器官が未熟な時期でもあるため、一度にたくさんの量を食べることはできません。幼犬は長時間食事がとれないと、低血糖症を引き起こす可能性があるため、特に注意しなければなりません。未熟な消化器官でも十分な栄養が摂取できるよう、食事は少量ずつ数回に分けて与えましょう。

●成長期(生後8~24ヵ月齢まで)
子犬期の終わりから成犬期までの期間で、小型犬の生後8~10ヵ月齢まで、中型犬の12ヵ月齢まで、大型犬の15ヵ月齢まで、超大型犬の24ヵ月齢くらいまでを指します。この時期の犬は好奇心旺盛で、哺乳・離乳期に比べて活動量も増えます。何かと活発に動き回るため、骨折や捻挫、関節トラブルなどには十分注意しましょう。

●成犬期(5~8歳まで)
成長が落ち着き、体重や体型が安定する時期です。成犬期は犬のライフステージで最も長く、小型犬は8歳頃まで、中型犬は7歳頃まで、大型犬・超大型犬は5歳頃まで続きます。免疫力も上がるので感染症にはかかりづらくなりますが、一方で肥満や歯周病、皮膚炎などのリスクは高まります。毎日変わったことはないかよく観察して、病気の早期発見・早期治療に努めましょう。

●高齢期(8~12歳以上)
小型犬は12歳、中型犬は10歳、大型犬は8歳頃から高齢期を迎えます。高齢期は「シニア期」とも呼ばれており、この時期の犬には運動能力や食欲が落ちたり、寝ている時間が長くなったりと、様々な老化のサインが見られます。腎臓病や腎臓病、がん、関節炎などの病気のほか、昼夜逆転や排せつ失敗など、認知症の症状が現れることもあるでしょう。愛犬が穏やかに過ごせるよう、シニア期に適した環境を整えてあげてくださいね。

■犬と暮らす上で心がけたい考え方については、以下の記事をご覧ください。
「犬の十戒」を知ってますか?犬の寿命と、愛犬にできることのすべて

ライフステージ別|お世話のポイントと意識したい栄養素

水を飲む犬

犬に必要な栄養素や運動量は、ライフステージごとに異なります。ここでは、各ライフステージにおけるお世話のポイントや、意識的に摂取したい栄養素を解説します。

●哺乳・離乳期(生後2ヵ月齢まで)
犬の心身が大きく成長する哺乳・離乳期には、栄養価の高い子犬用の食事を与えましょう。生まれて間もない幼犬の場合、食事には母犬の母乳が最適です。

離乳食は生後3~4週齢から開始しますが、初めはミルクにふやかした子犬用フードを混ぜて与え、徐々にフードの割合を増やしていくと胃腸に負担がかかりません。フードはタンパク質、カルシウム、リン、マグネシウムなどの栄養素を多く含むものを選び、1日数回に分けて与えてください。

●成長期(生後8~24ヵ月齢まで)
骨や筋肉の成長を考えて、ドッグフードは栄養価の高い子犬用のものを選びましょう。ただし、去勢・避妊手術後はホルモンの影響で太りやすくなることに加え、成長が落ち着いて必要な栄養も少なくなるため、成犬用のフードを与えても構いません。おやつの与えすぎには注意して、適正な体重をキープすることが大切です。

また、成長期には社会化やトイレトレーニングなど、しつけ関連のお世話も欠かせません。この期間は犬の一生に影響する大切な時期でもあるので、適切な接し方を心がけましょう。

●成犬期(5~8歳まで)
成犬期は運動不足や食事の偏りによって、肥満になりやすい時期です。食事は成犬用のものを選び、カロリーや脂質の摂りすぎに注意しましょう。また、関節の健康や筋肉の量を維持するためには、毎日の散歩も重要です。床の滑り対策や足裏のお手入れなど、できることから取り組み、思わぬ病気やケガのリスクを減らしましょう。

●高齢期(8~12歳以上)
高齢期は、これまで以上に健康状態の変化に気を配ることが大切です。この時期になると消化機能が衰えてくるため、食事は消化に良い低カロリーなものを選びましょう。また、グルコサミンやコンドロイチンなど、関節や骨の健康をサポートする成分も意識して摂取したいですね。加えて、年に1~2回は動物病院で健康診断を受け、体調管理に気を配りましょう。

犬の1年は人間の数年に相当するといわれていますが、犬種や身体の大きさによって成長スピードは異なります。ともに過ごす時間を大切にしながらライフステージに合ったケアを行えば、愛犬の生活の質はさらに高まるはず。愛犬のライフステージが変わるたびに、お世話の仕方や生活環境も見直してみましょう。

 

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石川 美代子

犬の管理栄養士、動物ケアスタッフ、動物医療技術師、犬の美容師(トリマー)。卒業後は動物看護師として動物病院に勤務し看護業務に従事。現在はwebライターとして主にペット関連記事の執筆、ペット用品・記事の監修などを行う。

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