COLUMN #53
動物医療技術師 石川 美代子
鼻ぺちゃな顔とずんぐりした体型が愛らしいペキニーズ。ボリュームたっぷりの被毛と一風変わった性格も魅力的で、子犬から迎えたいと考えている人も多いでしょう。ペキニーズを初めて迎える人や里親を考えている人に向けて、ペキニーズの性格や平均寿命、飼い方やしつけのポイントを解説します。ペキニーズとの生活を楽しむために正しい知識を知っておきましょう。
ペキニーズは低い鼻と短い足が特徴的な、中国原産の小型犬です。平均体高は20cm前後、平均体重は5kgほどと小柄ながらどっしりしており、全身ふさふさの長毛で覆われています。前足が「くの字」に曲がっていることから、バランスを取るため体を左右に揺らして歩く「ローリング歩行」は、限られた犬種でしか見られない独特の歩き方です。まるでライオンのような貫禄を漂わせる小型犬が、ペキニーズという犬種なのです。
そんなペキニーズの性格は、「猫のような性格の犬」と表現されるほど、とにかくマイペース。落ち着いていて、吠え癖もほとんどつきません。自立心が高く、信頼している飼い主にもベタベタ甘えない、小型犬には珍しいタイプの犬種といえるでしょう。見知らぬ人に愛嬌を振りまくこともなく、あくまで自分のペースを貫きます。
反面、好きな相手に対しての愛情は深く、ときにはやきもちをやくこともあります。飼い主がほかの犬を抱っこしたり撫でている場面では、間に無理やり入ってきたり、嫉妬心からそっけない態度をとるなど、独占欲の強さを感じることもあるでしょう。そうかと思えばその場で寝始めたり、いつの間にかどこかに行ってしまう気ままさも、ペキニーズのたまらない魅力といえます。
■ペキニーズの血を引いているミックス犬「ペキプー」や「マルペキ」も人気です。
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ペキニーズは吠え癖や噛み癖などの問題行動が少ないため、初心者でも飼いやすい犬種といわれています。活発な性質ではないので、散歩も気分転換程度の短い時間で構いません。子犬の時期は好奇心旺盛で活発に遊び回る犬も多いですが、ペキニーズの場合は子犬の頃から落ち着いている傾向があり、留守番も比較的スムーズに慣れることができます。
一方で、気位が高くマイペースな性格ゆえに、しつけがしにくい犬種でもあります。気に入らないことには全力で抵抗し、納得できない指示には従いません。頭ごなしに叱ったり、大きな音を立てたりすると途端に信頼関係がなくなり、コミュニケーションを取るのが難しくなります。ペキニーズと友好的な関係を築くには、子犬のうちから節度を持って接するのが大切です。ペキニーズの子犬はコロコロしてとても可愛らしいですが、このころに機嫌を取り過ぎてしまうと成長してからが大変なので「はじめが肝心」という意識を持って接しましょう。
なお、子犬の時期は歯の生え変わりによる歯茎のかゆみや遊びの延長から甘噛みをすることが多いですが、いつか収まるだろうと放置してはいけません。他人や他の動物を噛んでしまわないよう、時間をかけてダメなことを伝えましょう。ペキニーズのしつけはお迎え後すぐにおこなうのがベストです。おうちに慣れたタイミングで、なるべく早めに始めましょう。
「アニコム 家庭どうぶつ白書2023」によると、ペキニーズの平均寿命は13.2歳です。ペキニーズのような短頭種はそうでない犬種と比べて短命な傾向がありますが、ペキニーズの寿命は小型犬の平均程度。個体差はあるものの、食事や運動、睡眠など日頃の生活習慣に気を配っていれば、平均以上に長生きする可能性も十分あります。ペキニーズの不調にいち早く気付けるよう、日々の健康チェックは習慣化しておくことが大切です。
■ペキニーズの血を引いているミックス犬「ペキプー」や「マルペキ」も人気です。
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なお、ペキニーズの被毛はダブルコートなので、抜け毛はしっかり出ます。ブラッシングはなるべく毎日、最低でも週2~3回おこなうとよいでしょう。顔のシワに汚れが溜まると皮膚炎を起こしやすいので、濡れたタオルや犬の顔用ウェットティッシュできれいに拭き取ってあげることも大切です。特に、梅雨どきや夏は蒸れによる皮膚炎のリスクが高まる時期。ペキニーズが快適に過ごせるよう、日々のお手入れは丁寧におこなってあげてください。
また、ペキニーズは胴長短足の体型ゆえに、椎間板ヘルニアや膝蓋骨脱臼(パテラ)など関節疾患の好発犬種でもあります。背中や足腰への負担は関節疾患のリスクを高めるため、「床の滑り止め対策」「ソファなど高い場所からはジャンプさせない」「階段の上り下りはなるべく避ける」など、できることから対策を行うことが大切です。「まだ子犬だから大丈夫」などと思わずに、生活環境をしっかり整えてあげましょう。
<参考サイト>
https://www.pfirst.jp/contents_dogbook_subdhkcim.html
ペキニーズは見た目、性格ともに特徴的な犬種で「猫のような犬」ともいわれています。マイペースでクールな一面と、家族に対する愛情深さの両面を感じられるのは、ペキニーズと暮らす醍醐味といえるでしょう。また、わがまま放題にならないよう、しつけは子犬の頃から徹底して行うことが大切です。甘やかさず厳しくし過ぎず、適度な距離感を持って接することが、ペキニーズとの生活を楽しむポイントです。
天然木フローリング「Live Natural for Dog」は、犬にやさしい滑りにくさを備えた床材です。ペキニーズのような小型犬の足腰に配慮し、特殊な滑り止めを塗装しているので、一般的なフローリングよりも滑りにくいのが特徴。天然木ならではのぬくもりも感じられる「Live Natural for Dog」を、ぜひこの機会にお試しください。
石川 美代子
犬の管理栄養士、動物ケアスタッフ、動物医療技術師、犬の美容師(トリマー)。卒業後は動物看護師として動物病院に勤務し看護業務に従事。現在はwebライターとして主にペット関連記事の執筆、ペット用品・記事の監修などを行う。