Live Natural for Dog

COLUMN #5

犬を迎える心構えと最初の「しつけ」

NPO法人 社会動物環境整備協会 理事長 谷川のぞみ

初めての愛犬との暮らし

わが家も、犬と暮らしてみたい…そう思うきっかけはさまざまですよね。

犬と暮らしたら、楽しいことがたくさんありそう
小さいころから犬と暮らすのが夢だった
新しい家族がほしい
家族のいない犬を引き取ってあげたい、など…

思い浮かんだのは、楽しく一緒に過ごす風景。抱っこしたり、お散歩やお出かけしたり、ゲームを楽しんだり…そのような想いを持った時、考えていただきたいことがあります。

 

愛犬との出会いはいろいろ

犬との出会いにはいくつもの形があります。その出会いに良し悪しはありませんが、知っておいていただきたいことがいくつかあります。

 

ペットショップ

ペットショップで売られている子犬は、おおよそ生後2ヶ月を少し超えたぐらいです。( 生後8 週間以内の販売は動物愛護法で禁止されています)その月齢の子犬たちは、やっと自分でごはんが食べられるようになった頃ですが、実は子犬はこの時期に学んでおかなければならないことがいくつかあります。兄弟姉妹とじゃれあう中で相手を強く噛みすぎたら遊んでもらえないこと、「いけないこと」をして母親に怒られること、でもすぐに「ごめんなさい」をすれば、また元通りになれることなど… 。
この時期は母犬や兄弟と一緒に自分以外の命と寄り添って生きていく基礎を学ぶ大切な時期です。たとえ法律としてはOKであっても、母親や兄弟犬との幼すぎる別れは、何もわからない状態のまま飼い主さんと家族としての暮らしのスタートを切ることになります。ですから、飼い主さんは子犬の親としていろいろなことを教えていくことが必要になるのです。

 

ブリーダーや知り合い

次に、ブリーダーさんや、知り合いの飼い主さんから子犬を譲り受けるケースがあります。この場合は、多くは生後3ヶ月を過ぎてからの譲渡が一般的なので、子犬は兄弟とのじゃれあいや母犬からの教育で、犬社会での基本的なルールなどはすでに学んでいます。そして飼い主さんとの生活の中で、人との付き合い方や人間社会での暮らし方を教えてもらって、少しずつ立派な家庭犬になっていきます。もちろん、まだまだ子犬ですから子犬らしい活発さや、知らない世界へのあくなき興味などはたっぷりと持ち合わせています。

 

保護犬

また、保護犬の譲渡会などで出会うケースもあります。飼い主さんが入院してしまったなどの理由で飼い続けることができなくなったり、迷子や飼育放棄などで施設に保護された犬たちです。

出会いとしてはこれらのケースが代表的ですが、犬の生涯から見た場合には、それぞれ違った事情があります。出会いのタイミングが成犬の場合と老犬の場合、愛情をたっぷり受けた暮らしをしていた場合と愛情をかけてもらえず過ごしていた場合など。犬たちは、急に自分に起こる状況の変化に戸惑い、不安や恐れ、諦めや怒りなどの感情を持つこともあると思います。どのような状況の出会いだとしても、まずはその犬の全てを受け入れて、急がず騒がずゆっくりと静かに見守ることから始めてあげて下さい。犬が警戒している時は、無理に近づこうとせず、忍耐強く待っていれば、愛犬の方から必ず行動を起こします。なぜなら犬は人間と寄り添って生きていく動物だからです。

愛犬を迎える準備

どこでどんな出会いを目指すのか、どんな犬種を選ぶのか。
まず、生活を共にする全員で犬と一緒にどんな生活がしたいかを話し合って下さい。家族のそれぞれが愛犬とやりたいこと、夢に見ていることを話し合います。キャンプに行ってアウトドアを楽しみたいとか、ドッグランに行って愛犬と一緒に走りたいとか、アクティブな生活を望んでいる家族には遊ぶのや走るのが大好きな犬種を。ゆっくりのんびりした暮らしを望む方には日向ぼっこやゆっくり撫でてもらうことが大好きな犬種を選ぶことがポイントです。
犬には様々な犬種があり、それぞれ担ってきた役割や仕事などによって特性や精神的な傾向はありますが、実はそれより優先されるのは個体差です。犬種で選んだとしても、実際にはそれぞれの資質や性格が優先されます。また、雑種と呼ばれる犬たちに出会うこともあるでしょう。それぞれの歴史についてもわからないことばかりなので、とにかく愛犬をじっくり観察して、もっている特質や傾向などを把握してあげましょう。お互いを理解することが家族として暮らす第一歩です。そして、うちの子になるのはきっとこの子だ!というワンちゃんに出会ったら、家族全員で受け入れて、それぞれの性格や気質に合わせて接し方や教え方などを見つけていきましょう。

<あらかじめ用意するもの>

迎える前に最低限用意する物としては

フードとフードボウル
お水用のボウル
寝心地のいいベッドや、周りが囲まれて安心できるクレイトなど
首輪とリード
おしっこシーツ(トイレシーツ)

などがあります。また、お留守番をさせなければならない時に、動きを制限する場合はサークル、自由に過ごさせるのなら、最初はクレイトがある方が良いと思います。

迎えた犬に伝えてほしいこと

これから一緒に暮らす犬を迎えた時に、最初に伝えてほしいことがあります。それは人は優しいということ。
私が( 私たちが)愛して守ってあげるから心配しなくていいよということです。このことを心で思うだけではなく、ぜひ声に出して何度も犬に向かって語りかけて下さい。優しい顔で、優しい声で。笑顔で話し、声を出して言うことで私たちの心が伝わると思います。

体を触ってあげる

子犬であれば、身体中を褒めながら触ってあげて下さい。
耳の中、口の中、お尻回り、手足の先など、敏感な場所を優しく触りながら静かに褒めます。愛犬が成犬、あるいは老犬だったら、人に触られることに対してどう感じているかをまず探ります。触られることが苦手だったりストレスを感じているようなら、無理をせず時間をかけてゆっくりと少しずつ慣れていってもらいます。触られることに少し慣れてきたところで、触っても大丈夫そうな場所を見つけ( 口周りや胸のあたりなど)そこから徐々に触る範囲を広げていきます。少しでもいやそうだったら無理をせず、褒めて落ち着かせてあげましょう。最終的には身体中のどこでも触らせてくれるようになることを目指します。
子犬にしても成犬にしても、それから先シャンプーや爪切りをしたり、獣医さんの診察を受けたり、薬を塗ったり、目薬を差したりといろいろな接触が必要になるからです。

最初の「しつけ」

トイレのしつけ、ごはんのしつけ、行動のしつけ… 。いわゆる「しつけ」にはいろいろな考え方や方法があります。以前は犬のしつけは飼い主側の都合に合わせて、一方的に犬を変えていくという考え方でしたが、愛犬は家族という存在になった現在では、しつけとは飼い主と愛犬がお互いに幸せに暮らせるための約束事のようなものです。飼い主と愛犬の約束事、それは二つに分けて考えることが出来ます。

飼い主がやって欲しいと思うことを伝える
「やってほしいことを言葉で伝え、やらせて褒める」これだけです。言葉は全員で同じ言葉を選び優しい声で言います。命令口調の厳しい言葉や強い口調は必要ありません。「やらせて」の部分は、お座りをしてほしいときはお座りの態勢を取らせる。お手を教えたいときは愛犬の手を自分の手に乗せる。私たちがしてほしいのはこの行動だよと教えます。「褒める」は、優しい声で笑顔で静かに褒めます。静かにゆっくりと撫でてあげるのも効果的です。ご褒美はいりません。喜ばせたり、おだてたりすることも必要ありません。私たちはこういう風にしてくれるのがうれしいのよと伝えます。ご褒美をあげたり必要以上に喜ばせたりすると、愛犬のテンションが高くなりすぎて、逆に飼い主さんの気持ちが伝わりにくくなります。

飼い主がやめて欲しい、あるいはやらないで欲しいと思うことを伝える
「叱って止めさせて褒める」です。簡単に言うと「やめてほしいことをやった時( 瞬間)に、すぐに(しっかり)叱って止めさせて、( やめたことを)すぐに褒める」ということです。何について叱られているのかわかるためにはやった瞬間に叱ることが必要です。本当にその行動はやめてほしいのだということを、真剣にしっかりと伝えます。止めさせたら、すぐに褒めます。やめたことを褒めます。「止めたら褒める」ではなくて「止めさせて褒める」です。飼い主の気持ちが伝わりやすいようになるべくすぐに褒めたいからです。何について褒められたのか分かりやすくするために止めさせたらすぐに褒めます。褒め方はやって欲しいことを伝えるやり方と同じです。

やって欲しいことと、やらないで欲しいことを愛犬に伝えるためには、少し時間も練習も必要かもしれませんが、これから始まる愛犬との幸せな生活のためにぜひやっていただきたいと思います。

犬の時間は人の時間の6倍速く過ぎる

出会いが子犬の時期だったとしても、ましてや成犬や老犬だったとしたら猶更、愛犬との幸せな時間は人の時間の何倍もの速さであっという間に通り過ぎていきます。
例えば2日間体調を崩していたら、愛犬にとっては10日間以上も調子悪く過ごしているということになります。愛犬と過ごすという最高に幸せな日々が思った以上に短いということを思い知るのは、愛犬が少しずつ年老いて、今まで出来ていたことがだんだん出来なくなり、お別れの日がそう遠くないことを感じ始めた頃です。愛犬は年を取ればとるほど、愛らしさはどんどん増して、1分1秒も無駄にできないほどに大切な存在になってきます。子犬の時はもちろん可愛いのですが、老犬の可愛さは格別で、子犬の頃の何倍も愛おしく感じます。

さいごに

出会って、楽しい時や幸せな時間を一緒に過ごして、最後きちんと見守ってお別れするまでが愛犬との暮らしです。飼い主さんはどうぞ始まりから終わりまで、すべての愛犬の愛おしさ、素晴らしさ、存在の有難さを満喫してください。そのすべてを飼い主が見守ることができるように、そのために犬たちの寿命は人間より短くなっていると言えるのです。

 

谷川のぞみ
NPO法人 社会動物環境整備協会(SES)
理事長(SESドッグライフカウンセラー・認定講師・ドッグインストラクター)
愛犬との暮らし方教室の開催や個別のお悩み相談、犬の体の新陳代謝を促すドッグマッサージなどで活躍。飼い主と愛犬の幸せな暮らしを目指して活動しています。

商品ラインナップ

木下地用(戸建住宅用・マンション二重床用)

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