COLUMN #49
動物医療技術師 石川 美代子
日本の犬を代表する柴犬。小柄ながら和の雰囲気溢れる柴犬には気品と威厳があり、アニメや漫画でも大人気です。この記事では、そんな柴犬の性格と飼い方、平均寿命について解説します。その姿から漂う日本犬ならではの特徴を知って、柴犬の理解をさらに深めましょう。
日本犬の中で唯一の小型犬である柴犬は、コンパクトで均整の取れた体型をしています。ピンと立った耳にくるりと上向きに巻いたしっぽ、硬くてまっすぐな被毛は、洋犬にはない柴犬の大きな魅力。全身にたくましい筋肉がついていて、凛とした美しい立ち姿が印象的です。
柴犬のオスの平均体高は38~41cm、平均体重は9~11kg。一方、メスの平均体高は35〜38cm、平均体重が7〜9kgと、体格的にオスよりも少し小柄です。柴犬は見た目のわりに体重があり、持ち上げるとずっしりした重みを感じます。
なお、柴犬は信州柴犬、美濃柴犬、山陰柴犬、縄文柴犬の4種類に分類されます。これらの地域名を呼称に含む柴犬は「地柴」と呼ばれており、それぞれに見た目の特徴が異なります。現存する柴犬の9割は長野県や群馬県がルーツの信州柴犬といわれていますが、いずれも日本特有の犬種として「日本犬保存会」が継承・保持を行っています。
ちなみに、近年注目されている豆柴や小豆柴は、柴犬の正式な品種ではありません。これらの犬は小さな柴犬同士の掛け合わせによって生まれた犬種で、日本犬保存会が定める柴犬の標準体高や体重を下回る犬を指したものです。容姿や性格面で両者に大きな違いはありませんが、柴犬が力強い存在感を漂わせているのに対し、豆柴や小豆柴は子犬のような可愛らしさが魅力です。
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個体差はありますが、柴犬の性格は基本的に忠実、勇敢、利口、独立心が強いなどが一般的に挙げられます。古くから番犬として活躍してきた犬種とあって、見慣れないものや人に強い警戒心を示すところは、柴犬の持つ大きな特徴でしょう。家族にはよくなつきますが、あまりベタベタした関係は好まず、好きな相手とも適度な距離感を保ちたがります。
「柴距離」と呼ばれている柴犬特有ともいえる距離感の取り方は、パーソナルスペースが広い柴犬ならではの行動です。柴距離の基本は近くまで来るけど触れない距離。気に入らないタイミングで構われると、逃げたり牙をむくこともありますが、一方で構って欲しい時のアピールも強いところは柴犬が「ツンデレ」と呼ばれる所以でしょう。
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なお、柴犬の顔立ちにはキツネ顔とタヌキ顔の2つのタイプがあります。輪郭や体型が細めでクールな顔立ちをしているのがキツネ顔。頬が張っていて顔が丸く、眉毛や目鼻立ちがくっきりしているのがタヌキ顔です。柴犬が猟犬として活躍していた当時はキツネ顔が多数派でしたが、家庭犬として飼われるようになった今はどちらもよく見かけますよね。
柴犬に限らず犬の性格を顔立ちで判断することはできません。通常、犬の性格は遺伝的に受け継いだ先天的な気質と、飼育環境で生じた後天的な気質という2つの影響によって決まります。柴犬を迎える際に性格を推測したい場合は、親犬や兄弟の性格、育ってきた環境などをショップスタッフやブリーダーに確認するのがおすすめです。必ずしもその通りというわけではありませんが、どんな気質の犬なのか想像する際の目安になるでしょう。
古来より猟犬として活躍してきた柴犬は、他の小型犬種に比べて運動量が多い犬です。クールな性格ゆえに飛び回って遊んだり、ドッグランで他の犬と走り回ったりすることが少ない一方、満足な運動量を得られないとストレスから無駄吠えが増えたり、肥満になりやすくなったりするので注意しなければいけません。
柴犬と人、お互いが快適に過ごすためには、日頃から十分に運動する必要があります。散歩は毎日2回、各30分~1時間程度連れていきましょう。若いうちは好奇心旺盛で体力があり余っているため、広い場所で自由にさせてあげるのもおすすめです。
また、柴犬はとてもキレイ好きで汚い環境を嫌います。肌が弱く、アトピー性皮膚炎の好発犬種でもあるため、定期的なブラッシングやシャンプーは欠かせません。特に換毛期には毛が大量に抜けるので、入念にブラッシングをして不要な毛を取り除いてあげることが大切です。
「アニコム 家庭どうぶつ白書2023」によると、柴犬の平均寿命は14.7歳です。柴犬の体は日本の気候風土に適応しており、全犬種の中でも長寿な犬として知られています。命にかかわる重い遺伝性疾患もほとんどなく、適切に飼育していれば長生きさせやすい犬種といえるでしょう。栄養バランスのとれた食事、適度な運動、室内環境の整備などを心がけることが、柴犬の寿命を延ばすことにつながります。
<参考URL>
https://www.anicom-page.com/hakusho/book/pdf/book_202312.pdf
柴犬はツンデレな性格と日本犬らしい見た目が人気の犬種です。相手が信頼している家族であってもベタベタされるのを嫌がり、自分が甘えたい時だけ近寄ってくるところは、まさにツンデレ。普段は一定の距離が保たれている分、近寄ってきてくれた時には大きな喜びを感じられるはずです。柴犬と接する際は犬種の特性をよく理解し、無理のない関わり方を心がけましょう。
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石川 美代子
犬の管理栄養士、動物ケアスタッフ、動物医療技術師、犬の美容師(トリマー)。卒業後は動物看護師として動物病院に勤務し看護業務に従事。現在はwebライターとして主にペット関連記事の執筆、ペット用品・記事の監修などを行う。