COLUMN #45
動物医療技術師 石川 美代子
ぷにぷにした感触が魅力的な犬の肉球。ついつい触ってしまう人も多いと思いますが、実は犬の肉球には、犬が生活するために必要な役割がたくさんあります。
この記事では、犬の肉球の役割や起こりやすいトラブル、日頃から心がけたいお手入れの方法について解説します。
犬の肉球は正式名称を「蹠球(しょきゅう)」といい、脂肪と弾性繊維でできています。表面は分厚い角質で覆われているため、硬い地面を歩いても皮膚が傷つくことはありません。肉球の角質層にはスパイクのような突起が密集していて、他の皮膚とは違う独特の触感があります。
また、肉球は前脚と後ろ脚の両方に存在していて、中心にある大きめのものと外側に位置する小さめのもので構成されています。前脚にあるのは掌球、指球、手根球の3つで、後ろ脚にあるのは足底球、趾球の2つです。生まれてすぐの犬の肉球はとても柔らかいですが、散歩時間が長かったり外で飼われていたりする犬ほどしっかり硬くなるなど、その柔らかさは環境によって変化します。
肉球には全体重がかかる足先を保護する靴のような役割があります。真ん中の大きな掌球と4つの指球は衝撃を吸収する効果も持っていて、犬が飛んだり跳ねたりした際の足腰にかかる負担を和らげてくれます。また、肉球には犬の体で唯一、汗を分泌する「エクリン線」が存在します。人のように大量の汗をかくことはできませんが、犬も肉球に汗をかくことで体温の調節を行っているのですね。
他の皮膚に比べて丈夫なイメージのある肉球ですが、実は私たちが思っているよりもデリケート。常に地面と接している部分だからこそ、傷や乾燥、炎症などのトラブルには注意が必要です。
例えば、肉球が極端にカサカサしているような場合は、カビや細菌による炎症やアトピー性皮膚炎などが考えられます。また、赤く腫れている、犬が気にして舐めている、出血しているなどの場合は、トゲや小石による怪我や火傷が原因かもしれません。さらに、肉球が熱くなっている場合は発熱、白っぽく冷たい場合は血行不良・血栓症が疑われます。
もし、犬が肉球をやけに舐めていたり、いつもと状態が違うと感じた時は、かかりつけの動物病院を受診することをおすすめします。「一時的なものだろう」と軽く考えて放っておくと状態が悪くなったり、傷口から感染症を引き起こしたりする可能性もあるので、なるべく早く獣医師に相談することが大切です。散歩の後は必ず足裏をチェックして、肉球の周りに異常がないかチェックしてみてくださいね。
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犬にとって肉球はとても大切な器官なので、なるべくこまめにお手入れしてあげましょう。散歩後はぬるま湯やペット用のウェットティッシュでやさしくこすり洗いをして、汚れや異物を取り除きます。洗い終わったらゴシゴシ拭かずに、タオルでしっかり水気を吸い取ってください。
肉球の乾燥対策としては1日1回、犬用の保湿剤を塗るのが効果的です。保湿剤にもいろいろなタイプがありますが、肉球には浸透性の高いジェルタイプが良いでしょう。塗り過ぎると歩く際に滑って怪我をしてしまう可能性があるので薄く均等に塗るのがポイントです。
また、肉球の持つクッション性・滑り止め効果は、肉球の間に生えた毛が伸びていると最大限に発揮されません。一般的なフローリングは犬にとってツルツル滑りやすく、足裏の毛が伸びていると常にふんばって歩く必要があります。特に足が短い犬は体型上どうしても足腰に負担がかかりやすく、椎間板ヘルニアなどの関節トラブルを起こしやすくなるといわれています。足腰にかかる負担が少なくなるように、肉球周りの毛はこまめにカットしておきましょう。
(左)毛が肉球を覆っていると滑りやすい (右)毛がカットされた状態
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犬の肉球には、快適に過ごすための役割がたくさんあります。また、肉球の質感や色、温度によって犬の体調を判断したり、病気のサインに気付いたりすることも少なくありません。この機会にぜひ、愛犬の肉球を観察してみてはいかがでしょうか。
当社の「Live Natural for Dog」は、大切な家族である愛犬の歩きやすさに配慮した犬用フローリングです。ぬくもり溢れる天然木に特殊な塗料をプラスすることで、小型犬の足腰に負担がかかりにくい適度な滑りにくさを実現。犬にやさしいフローリングをお探しの方は、ぜひ導入をご検討ください。
石川 美代子
犬の管理栄養士、動物ケアスタッフ、動物医療技術師、犬の美容師(トリマー)。卒業後は動物看護師として動物病院に勤務し看護業務に従事。現在はwebライターとして主にペット関連記事の執筆、ペット用品・記事の監修などを行う。