Live Natural for Dog

COLUMN #4

病気や事故を起こしにくい床について

動物救急センター E R 文京センター長 石田哲太郎

ワンちゃんと暮らす空間の床材選び

ペットと共生する住環境において、床材選びはとても重要な要素となります。
床材の種類としては、フローリング、タイル、フロアマット、絨毯、畳など様々ですが、それぞれにデザイン性、耐薬品性、耐摩性、耐水性、クッション性などに違いがあり、生活スタイルや動物の種類、かかりやすい病気などを総合して選ぶことが大切です。
動物病院では、排泄物や血液などによる汚染や感染症対策が優先されますので、耐薬品性、耐水性を重視していますが、ご家庭では水回り、リビング、寝室などで素材が異なる場合もあります。
ペットの病気や事故を予防・ケアーする上で、知っておきたい床材選びのポイントについて紹介させていただきます。

 

ポイント1「滑りにくいこと」

ペットが滑ってしまうという事は、動物側の要因と、環境側の要因とが相互に関連しています。
ペットの肉球の外表面は厚い角質層で覆われ、内部は脂肪と弾性繊維やコラーゲンからなる柔らかな皮下組織でできています。肉球の周囲には発達した汗腺が見られます。
肉球の機能としては、高いところから飛び降りた際の衝撃をやわらげたり、獲物に近づく際に足音を消したり、適度に汗をかいて湿らせることで滑り止めとなったりと考えられています。
健康なペットでも、激しく走り回り急な方向転換をすることで止まりきれずに関節や靭帯に負荷がかかることがあります。特に悪化しやすい病気として、「膝蓋骨脱臼」や「椎間板ヘルニア」などが挙げられます。

〈膝蓋骨脱臼ってなに?〉

膝蓋骨は楕円形で長軸方向に長い構造をしています。膝関節をスムーズに曲げ伸ばしする際に滑車の役割を果たします。この膝蓋骨が脱臼した状態を膝蓋骨脱臼といいます。
膝蓋骨内方脱臼は小型犬に多く発生し、遺伝性が示唆されていますが明確な原因遺伝子は特定されていません。小型犬では発育期に骨形成の異常が生じ、その結果膝蓋骨と付着する大腿四頭筋の方向が異常になり生じるとされています。
発症の82%は発育期に生じていて、98%が内方脱臼で2%が外方脱臼との報告があります。外方脱臼の場合は、腱や側副靭帯の損傷につながり重度の関節炎に移行することがあり大型犬では特に注意が必要となります。
脱臼のグレードは4段階に分けられ、軽症であれば温存とし、重度であったり、急激に進行する場合は手術が適応となります。
急激な進行を予防するには、滑らない環境づくりが大切で、ペットの性格や活動性を加味して床材を選択することが重要になります。

〈椎間板ヘルニアってなに?〉

椎間板ヘルニアは犬の脊髄疾患でもっとも多い疾病です。
椎間板の中身( 髄核)が飛び出て急性発症するタイプと、椎間板自体がじわじわと飛び出てくる慢性進行性のタイプの2種類が代表的です。
初期の症状は痛みが中心ですが、進行すると麻痺が生じ早急な検査や治療が必要となります。急性発症でも、症状が軽い場合や慢性進行性の場合は、積極的に手術を選択しないケースもあります。
自宅療養をする場合は、急激な姿勢変化を避けてあげることが重要です。ケージレスト(ケージ内での安静)や人の管理下での活動に留めて安静を保ち、滑ったり転んだりしない環境を整え、抱きかかえる時は背骨の向きが大きく変わらないよう前後から抱えるようにして下さい。
軽度の麻痺がある場合は、本人の意思と違った足の動きとなり、つまずいたり転んだりするリスクが高まりますのでその点も注意してください。肉球のグリップでは支えきれない場合は、爪や足裏につける滑り止めを装着したり、靴を履かせる場合もあります。

ポイント2「清潔に保つこと」

室内でワンちゃんと生活する上で床を衛生的で片付いた状態に保つ事は、病気や事故の予防になります。
ワンちゃんの排泄物が床に残っていたり染みついたままの場合、踏みつけたり被毛に付着することで皮膚病の原因になることがありますし、同居のペットや人に内部寄生虫が感染する原因になることもあります。
このため床の清拭( 排泄物の片づけ、拭き掃除、消毒など)のしやすさがポイントになりますが、凹凸の多いものや毛足のながい絨毯などは清潔に保つことが難しく、イエダニの繁殖によるアレルギーの原因にもなることがあります。
また、異物が落ちていても見つけづらく、誤食につながることもあり、ごみや汚れの視認性が高く、汚れなどを綺麗に拭き取りやすい床を選ぶことが大切です。

ペットも人も快適な空間

一般的にフローリング材は、ペットと生活する上では、お手入れや滑りの点で場所によっては、やや選びにくい点がありました。
このたび朝日ウッドテックから小型犬の足腰に負担のかかりにくい、滑りにくさに配慮した天然木フローリングが販売されました。
天然木ならではの質感やぬくもりは、住空間を豊かにするためにとても良い素材であり、クッション性のある塗料をうまく使うことで、木材の質感を維持しつつ滑りにくい工夫がされていることは、小型犬と生活をする飼い主にとって、より豊かな生活を送るための選択肢が増えたように思います。
ただし、滑りにくい機能を十分に発揮させるには、肉球の隙間から毛が長く伸びていてはいけません。適切な長さに定期的に処理をすることをおすすめします。また病気や加齢により足腰が弱ってくると、踏ん張りが効きにくくなる場合もありますので、その点は注意が必要です。

生活環境の快適さを考えた場合、最初の状態と将来の状態が必ずしも同一であるとは限りません。
人とペットが共に快適な生活を送れるよう、ライフスタイルの変化や加齢に合わせて適応させて
いく必要があります。
日々生活をしているその瞬間が充実していることが、将来の充実へとつながります。毎日のちょっとした瞬間に、温もりや安心を感じることの出来る豊かな住環境が多くの人とペットに広がることを願っています。

商品ラインナップ

木下地用(戸建住宅用・マンション二重床用)

ライブナチュラルプラス for Dog

犬にやさしい滑りにくさを実現したフローリング

木下地用(上貼り用)

ライブナチュラルMSX
スーパー6 for Dog

リフォームにも最適な犬にやさしい滑りにくさを実現したフローリング

コンクリート下地用(マンション直貼り用)

ライブナチュラルMSX
ネダレス 145 for Dog(L-40)

犬にやさしい滑りにくさを実現したマンション用直貼り防音フローリング