COLUMN #37
動物医療技術師 石川 美代子
「ミックス犬」とは、異なる純血種犬を掛け合わせて交配した犬です。この記事では、ミックス犬のなかでも安定した人気を持つ「チワックス」の特徴をご紹介。性格や平均寿命、飼い方のポイントなども解説しますので、ご自宅にチワックスを迎えたいと考えている方はぜひ参考にしてみてくださいね。
チワックスは、チワワとダックスフンドを掛け合わせたミックス犬です。見た目や性格には個体差がありますが、その多くはチワワゆずりの大きな瞳とダックスフンドゆずりの胴長短足を引き継いでいます。平均体重は3~5kgほどと小柄で、決して広くない日本の住環境でも飼いやすいと人気を集めています。
チワックスの主な性格は、お茶目で甘えん坊、遊び好きなことなどが挙げられます。持ち前の明るさと好奇心から、慣れた相手にはフレンドリーに接することができるでしょう。しかし、一方では神経質で臆病な一面もあるため、初めて会う人や動物を前にすると慎重になったり、警戒心から吠えたりしてしまうこともあります。こうした思わぬトラブルが発生するのを避けるためにも、チワックスのしつけは子犬の頃からしっかり行うことが大切です。
また、チワックスは毛色のバリエーションが豊富なことでも知られています。ブラウン、クリームなどの単色をはじめ、ブラック&タンやブラウン&タンなどのバイカラー、白地に1~2色のはっきりした斑が入ったパーティカラーなど、さまざまな組み合わせがあるため、迎える時は迷ってしまうかもしれません。珍しい毛色は希少価値が高く、販売価格も高額になる傾向があるようです。
<参考サイト>
https://www.pfirst.jp/contents_dogbook_subdhkcim.html
広い飼育環境こそ必要ないチワックスですが、心身の健康には毎日の散歩が欠かせません。犬の散歩には、足腰の筋力向上や認知症予防、皮膚・被毛の健康維持など、さまざまなメリットがあります。1日2回、各15分ずつは散歩させるようにして、ストレスや運動不足の解消に努めましょう。
また、チワックスは「ダブルコート」という二層構造の被毛を持つ犬でもあります。被毛のタイプには短毛のスムースコート、針金のような剛毛が密生するワイヤーコート、長毛のロングコートの3種類がありますが、いずれも抜け毛が多いので、定期的なブラッシングが必要です。特に耳や胸の飾り毛は絡まりやすいため、こまめにブラッシングしてあげましょう。
■併せて読みたい
・ノーフォークテリアの魅力!ダブルコート犬特有の抜け毛とフローリングの関係
なお、チワックスにはその警戒心の強さゆえ、社交性に欠けた犬も少なくありません。警戒吠えや他人・他犬への攻撃など、あらゆる問題行動を予防するためには、子犬の頃から社会化を徹底させることが大切です。犬の社会性を育むためには積極的に外へ連れ出し、知らない人や動物に接する機会を増やすことが効果的です。特に生後3~14週間までの「社会化期」は犬にとって大切な時期なので、人や環境、身につけるものなど、さまざまなものに慣れさせる機会が多くなると良いでしょう。
<参考URL>
https://inunavi.plan-b.co.jp/chihuachshund/
ミックス犬の歴史はまだ浅いため、チワックスの正確な寿命は分かっていません。ただ、両親であるチワワとダックスフンドの平均寿命から考えると、チワックスの寿命は13~15歳程度であると推測されます。
アニコム損保の「家庭どうぶつ白書(2023)」によると、ミニチュアダックスフンドの平均寿命は14.8歳、チワワの平均寿命は13.9歳と、どちらも比較的長寿。また、体重が10kgに満たないミックス犬の平均寿命は14.8歳でした。このデータは犬の種類を問わないものであり、チワックスのみの統計ではありませんが、チワックスの平均寿命もおおよそこのあたりと考えられるでしょう。
チワックスを長生きさせるためには、かかりやすい病気や怪我に注意して生活させることが大切です。チワックスにとって注意したい主な病気としては、椎間板ヘルニアや膝蓋骨脱臼(パテラ)といった関節疾患をはじめ、呼吸器や心臓疾患なども挙げられます。これらの病気は多くが高齢の犬に発症しますが、まだ若いうちに起こることもあるので十分注意しましょう。
■併せて読みたい
・犬の寿命を考える!犬種と寿命の関係は?ペットの健康寿命を延ばすポイントとは
関節疾患を予防するには、床に滑り止めマットを敷くなど、なるべく足腰に負担がかからない生活環境を整えることが大切です。また、高い場所からの飛び降りや垂直ジャンプも怪我の原因となるため、危ない動きをしないようにきちんとしつけましょう。華奢で胴長な体型はチワックスの大きな魅力でもありますが、一方では足腰にかかる負担も少なくないため、日頃から注意したいですね。
<参考URL>
https://www.anicom-page.com/hakusho/book/pdf/book_202312_2_4.pdf
チワックスは毛色や毛質のバリエーションが多く、見た目も他の犬にはない特徴を持った犬です。その性格は個体によって差がありますが、警戒心の強さから吠え癖がつきやすいため、子犬の頃からしっかりと社会化させておくことが重要です。また、足腰に負担がかかるのを避けるため、チワックスが過ごす場所は環境整備をすることが大切です。
■併せて読みたい
・ペキニーズは短命?犬の寿命知ってますか?小型犬の寿命に関する噂の真偽
・フレブルの愛称で知られる”フレンチブルドッグ”。寿命は?足腰に負担は?
「Live Natural for Dog」は、チワックスのような小型犬のために作られた滑りにくい床材です。柔らかく強靭な樹脂を特殊塗装することで、長期にわたって使っても効果が持続します。天然木の質感が楽しめる犬用フローリングをお探しの方は、ぜひ導入をご検討ください。
石川 美代子
犬の管理栄養士、動物ケアスタッフ、動物医療技術師、犬の美容師(トリマー)。卒業後は動物看護師として動物病院に勤務し看護業務に従事。現在はwebライターとして主にペット関連記事の執筆、ペット用品・記事の監修などを行う。