COLUMN #36
動物医療技術師 石川 美代子
獲物を「探す」「追いかける」「捕まえる」「咥える」など、すべての犬には作業欲求があります。おもちゃ遊びは犬にとって心の栄養であり、本能的な欲求を満たすために欠かせないもの。おもちゃを通じてコミュニケーションを取ることで、愛犬との絆をより深めたり、しつけを円滑に進めることができるようになります。
この記事では、犬のおもちゃの種類やおもちゃ遊びのメリット、おもちゃを選ぶ際のポイントを解説します。愛犬にどんなおもちゃを選ぶべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
犬にとっておもちゃで遊ぶことは、疑似的な狩りを楽しめるかけがえのない時間です。猟犬や番犬などさまざまな分野で活躍してきた犬たちですが、家庭犬として暮らすようになった現代もその本能はしっかり残っているもの。おもちゃを獲物に見立てて遊ぶことで「探す」「追いかける」「捕まえる」「咥える」「運ぶ」「振り回す」といった犬の本能が満たされるので、充実感や達成感を得ることができます。おもちゃ遊びは犬のストレスや運動不足解消のほか、問題行動の予防にもつながるので、ぜひ積極的に取り入れてあげましょう。
もし愛犬がおもちゃを持ってきたら「遊んでほしい」「注目してほしい」「褒めてほしい」などのサイン。もらったばかりのおもちゃを持ってくるときは、ただ自慢したいだけという場合もありますが、愛犬の性格や様子から理由を推測して適した対応をしましょう。
ちなみに、一緒におもちゃで遊んでいるときに、犬が「ガルル」や「ウー」など唸ることは珍しくありません。一見怒っているのかと思いがちですが、遊んでいる最中に犬が唸る主な理由は、興奮や所有欲、闘争心などが挙げられます。「楽しい!」「負けないぞ」「取らないで」などの気持ちから、つい唸ってしまうのですね。
興奮のさせ過ぎはお互いにとって好ましくないので、唸りが続く場合は遊びを中断し、クールダウンの時間を設けましょう。「離して」などのコマンドを覚えさせておくと、興奮時もスムーズに落ち着けます。犬は時間の長さより回数に満足感を覚える生き物なので、1回に遊ぶ時間は10分程度と短くし、回数を分けて取り入れるのがポイントです。
<参考サイト>
https://hotto.me/10045
■おもちゃで遊ぶことは愛犬の運動不足にもつながります。運動不足と感じるときは、おもちゃで工夫をしてみてはいかがでしょうか。
・老犬ホームってどんなところ?保護犬や老犬を悩ます、犬の運動不足
・犬の寿命を考える!犬種と寿命の関係は?ペットの健康寿命を延ばすポイントとは
多種多様な犬のおもちゃですが、ロープ、ボール、フリスビー、ぬいぐるみなどは特に人気があります。ひっぱったり転がしたりと用途や得られる効果はそれぞれなので、ぜひいろいろなおもちゃで遊んであげるとよいでしょう。
また、最近はしつけや頭のトレーニングにも役立つ「知育おもちゃ」も少なくありません。知育おもちゃには、食べ物を詰めて遊べるタイプや嗅覚を使って楽しむタイプなどさまざまな種類があり、犬の集中力を高めたり、少ない運動量で作業欲求を満たせるなど、犬はもちろん、飼い主さんにもメリットがあります。
犬のおもちゃを選ぶときは、年齢や犬種を考慮することが大切です。たとえば子犬はなんでも口に入れて確かめたがるうえ、歯の生え変わり時期はとにかく硬いものを噛みたがります。そのため、おもちゃは丈夫で噛み応えのあるものがベストです。
落ち着きが出る成犬期以降は、少ない活動量でも適度な疲労感を得られる知育玩具がおすすめです。はじめは難易度が低いものを選んで、慣れてきたら徐々に難しいものにチャレンジさせてみましょう。どんなおもちゃも犬に対して小さすぎるものは誤飲のリスクがあるので、誤って飲み込んでしまわないサイズを選んでください。
犬におもちゃを与えるときは、安全性への配慮が欠かせません。かみちぎって誤飲してしまったり、尖った破片で怪我をする恐れもあるので、耐久性の低いおもちゃは与えないようにしましょう。普段おとなしい犬でも油断は禁物です。遊んでいる間は決して目を離さないようにして、遊び終わったおもちゃは片づけてください。
また、清潔を保ちやすいかどうかも、犬のおもちゃ選びの大切なポイントです。犬は口を使って遊ぶので、どうしても口腔内の雑菌がおもちゃに付着してしまいます。唾液によってほこりや汚れも付きやすくなるため、おもちゃはなるべく丸洗いできるものか、サッと汚れを拭き取れる素材のものを選ぶとよいでしょう。
なお、フローリング敷きの室内で犬と遊ぶ場合は、足裏の毛をこまめにカットし、カーペットやマットを敷いて滑らないようにしておくと安心です。一般的なフローリングはツルツル滑ってしまい、膝蓋骨脱臼(パテラ)や椎間板ヘルニアなど思わぬトラブルを招きかねません。愛犬が安全に楽しく遊べるよう、床の滑り止め対策はしっかり行いましょう。
■愛犬とフローリングの関係についてはこちらもご覧ください。
・犬とフローリングにまつわる課題とは?愛犬をヘルニアから守ろう!
・トイプードルなど犬にとってジャンプは危険?犬の脱臼を引き起こすフローリングとは!
・ペットと床材の相性は?小型犬に木のフローリングがNGって本当?
犬にとっておもちゃはただの遊び道具ではなく、本能を満たせる大切なアイテムです。ひとくちにおもちゃといってもボールやロープ、ぬいぐるみなどたくさんの種類があるので、はじめは一通り揃えてあげるとよいでしょう。愛犬が毎日を楽しく過ごせるように、おもちゃは定期的に新しいものと入れ替えて、床には滑り止め対策をしてくださいね。
当社の「Live Natural for Dog」は、犬の足腰に負担がかかりにくい適度な滑りにくさを実現した床材です。木そのものの感触と耐久性を両立した高級感のある仕上がりで、愛犬を室内で思いっきり遊ばせてあげたいオーナー様に最適です。犬にやさしい天然木フローリングを、ぜひご検討ください。
石川 美代子
犬の管理栄養士、動物ケアスタッフ、動物医療技術師、犬の美容師(トリマー)。卒業後は動物看護師として動物病院に勤務し看護業務に従事。現在はwebライターとして主にペット関連記事の執筆、ペット用品・記事の監修などを行う。