COLUMN #29
動物医療技術師 石川 美代子
世界で最も小さい犬種であるチワワは、メキシコ原産の犬種です。コンパクトなボディに零れ落ちそうな瞳がなんとも魅力的ですが、実は意外と気が強く、他の犬種顔負けの運動神経の持ち主なんです。この記事ではチワワの意外な一面と平均寿命、チワワとの生活で注意したいケガ・病気について解説します。現在チワワと暮らしている方はもちろん、チワワを迎えたいと思っている方も参考にしてみてくださいね。
チワワはとても活発で、運動神経が良い犬です。特に若い頃は家の中を飛ぶように走り回って、飼い主さんをびっくりさせることもあるでしょう。ジャンプ力も高く、華奢で小柄な体からは想像できないほど高く飛ぶチワワも少なくありません。
個体差はありますが、基本的にチワワは自分の体長の2倍以上の高さであれば難なく飛べるのだとか。小さい体ながらパワフルで運動能力が高い犬、それがチワワなのですね。人気の犬種の中では、トイプードルに次ぐ足の速さとして、時速25kmほどと紹介しているところもあります。
なお、犬が必要とする運動量は犬種ごとに異なりますが、チワワの運動量はそれほど多くありません。散歩は1日2回、各15~30分程度あれば十分でしょう。雨が続いていたり、日中暑くて外に出られなかったりするときは室内でしっかり遊んであげれば、必要運動量は問題なく満たすことができます。
■ロングコートチワワについてはこちらもご覧ください。
・ロングコートチワワは小さいけれど勇敢!飼い方としつけのポイント
アニコム損害保険株式会社が公開している「アニコム 家庭どうぶつ白書2021」によると、チワワの平均寿命は13.8歳です。これは人間に換算すると70歳ほどで、比較的長寿といえるのではないでしょうか。また、小型犬の寿命はおおむね12~15歳ですが、チワワの場合は15歳を超えて長生きする犬も珍しくありません。
獣医学の発展や飼育環境の向上にともない、犬の平均寿命は年々延びています。一般社団法人ペットフード協会が実施している「犬猫飼育実態調査」によると、2022年の犬全体の平均寿命は14.76歳、チワワなど超小型犬の平均寿命は14.28歳。10年前の犬の平均寿命は約13.94歳だったことを考えると、この10年で犬は0.82歳寿命が延びています。
なお、チワワの最高寿命はアメリカフロリダ州のトビーキースくん。ギネスに認定されたのは2022年3月16日で、年齢は21歳と66日でした。このほか正式な記録ではありませんが、17~19歳程度まで生きたチワワも数多く、チワワの寿命の長さが伺えます。
<参考URL>
https://www.anicom-page.com/hakusho/book/pdf/book_202112.pdf
■チワワやチワワのミックス犬についてはこちらもご覧ください。
・チワワの赤ちゃんを迎えるための準備 寒さに弱い?気をつけることは?
・ミックス犬の犬種とは?チワワとプードルのミックス「チワプー」の可愛らしさ
■チワワをはじめとした人気の犬種TOP10はこちら
・犬の種類ランキングTOP10!愛犬と暮らす家づくりのポイントとは
チワワは骨が細くて薄い、華奢な体つきをしています。そのため、膝蓋骨脱臼(パテラ)などの関節疾患には十分注意が必要です。
膝蓋骨脱臼とは膝のお皿の骨が外れてしまう状態のことで、膝蓋骨を支える構造の内側と外側の張力がアンバランスになると発症します。主な原因はジャンプの着地時やダッシュからの急停止など、膝関節への瞬発的な負担、衝突や転倒などの事故など。チワワをはじめ、トイプードルやポメラニアンなどの小型犬は生まれつき膝の滑車溝や靭帯に問題があり、脱臼しやすい状態になっているケースも珍しくありません。
高い場所からのジャンプや室内でのダッシュは、膝蓋骨脱臼のリスクを高める行動のひとつです。特に真上にピョンピョン飛ぶ垂直ジャンプやツルツル滑るフローリングの上を走らせるのは、骨・関節にとって良くありません。
もし愛犬がこのような行動をしていたら、飼い主さんがそのつど制止してあげることが大切です。膝蓋骨脱臼はひどくなると手術が必要になることもあるため、発症しないよう日頃から気をつけておきましょう。
好奇心旺盛で活発なチワワは、その見た目からは想像できないほど高い運動神経の持ち主です。飼い主さんとおもちゃで遊んだり、外でおもいっきり走り回ったりするのも好きなので、一緒に暮らしていて楽しい犬種といえるでしょう。平均寿命は13.8歳と小型犬の中では平均的ですが、15歳以上まで長生きするチワワも珍しくなく、比較的長生きする傾向があります。
反面、チワワは華奢な骨格ゆえ、骨折や関節トラブルのリスクが高い犬種でもあります。垂直ジャンプや滑りやすい床での運動は怪我につながりやすいため、しつけや環境整備で対応しましょう。足を気にしている様子がみられたり、歩きづらそうにしていたりする場合は、なるべく早くかかりつけの動物病院で相談してくださいね。
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石川 美代子
犬の管理栄養士、動物ケアスタッフ、動物医療技術師、犬の美容師(トリマー)。卒業後は動物看護師として動物病院に勤務し看護業務に従事。現在はwebライターとして主にペット関連記事の執筆、ペット用品・記事の監修などを行う。