COLUMN #21
動物医療技術師 石川 美代子
飼育放棄や迷子など、様々な事情で保護された犬のことを「保護犬」と呼びます。近年、テレビや雑誌などが取り上げたことで認知が広がりつつありますが、保護されているのは主にどんな犬種なのでしょうか。この記事では、保護犬を取り巻く状況や保護犬に多い犬種、保護犬の里親になる方法について解説します。
最近は、保護犬カフェの取り組みを取り上げるメディアも増え、ドラマのロケ地になったりテレビ番組で紹介されたりと、「保護犬」や「保護犬カフェ」という言葉を聞く機会も増えていますよね。保護犬の存在や保護活動の内容が広く認知されたことで、「保護犬を迎えたい」「保護犬カフェを利用したい」という声もよく聞かれるようになりました。
保護犬カフェは保護犬の譲渡会とカフェが一体化した施設です。施設内では犬たちがのびのびと暮らす様子を見ながらお茶を楽しんだり、保護犬と実際に触れ合ったりすることができます。料金や利用時間は施設によって異なりますが、「なるべく気軽に利用できるように」と料金を安く設定している施設や、保護犬との相性をじっくり確かめることが出来るよう、制限時間を設けていない施設も多いのが特徴です。
保護犬の中には様々な理由から人と触れ合うのを怖がる犬もいますが、多くのお客さんから可愛がられることも大切な社会勉強のひとつです。保護犬カフェは日本全国にあるので、里親に興味がある方はもちろん、犬のいる空間でのんびりしたいという方は、ぜひ保護犬カフェで楽しいひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか。
■併せて読みたい
・可愛い看板犬がいるカフェやリゾート5選!保護犬だったコも活躍中
・保護犬譲渡会や保護犬カフェにメディアも注目!飼い主も試されるトライアル期間とは
<参考URL>
https://beauty.oricon.co.jp/special/101768/
保護犬として暮らしている犬は、トイプードルやチワワ、ダックスフンドなどの小型犬からゴールデンレトリーバーなどの大型犬、そして雑種まで様々です。特にペットショップで多く見られる犬種は飼う人が多いことから、飼育困難で保護や保健所に持ち込まれる割合が高いといえるでしょう。保護犬の中には加齢や病気などで出産に適さなくなった「繁殖引退犬」もいますが、これらも人気の犬種であることがほとんどです。
なお「AERA 2008年12月08日号」を見ると、当時、保健所に持ち込まれた犬種で最も多かったのは柴犬、次いでダックスフンド、シーズー、ラブラドールレトリーバーと続きます。最近は純血種同士の交配で誕生したミックス犬の保護も増えているため、ペットショップ並みに多くの犬種が保護されているのが実情です。
ちなみに、保護犬として暮らす犬の多くは成犬・老犬です。子犬の場合は、飼い主が飼って間もなく手放した犬や野犬、身体的な特徴や病気などでブリーダーから引き取られた子が多いでしょう。中にはペットショップで売れ残った子犬を保護犬として扱う保護団体もありますが、保護犬カフェにいる犬のほとんどは成犬以上です。
<参考URL>
https://contest.japias.jp/tqj21/210040X/ja/whats_going/another/kind_of_dog/
■併せて読みたい
・「犬の十戒」を知っていますか?犬の寿命と、愛犬にできることのすべて
・虹の橋とは?犬の十戒に次ぐ、“もふもふ”にまつわる伝説のポエム
保護犬の里親になるには、施設を運営している団体の審査に合格する必要があります。審査内容は団体によって異なりますが、犬を飼育した経験の有無や職業、勤務形態、家族構成、住居の状況などを通して、「譲渡された犬が幸せに暮らしていけるか」「飼育が難しくなるリスクは少ないか」などを確認することが多いでしょう。
また、里親になる際にはペットのワクチン代や避妊手術代など、犬の健康管理に必要な費用の支払いを求められることも少なくありません。費用の額は保護団体によって異なりますが、一般的に2~6万円程度の譲渡費用を設定しているところが多いですね。譲渡費用は保護活動費に充てられるほか、金銭的な余裕を判断するためにも必要です。
なお、近年では保護犬カフェのほか、インターネット上の里親募集サイトや、保健所が行う譲渡会で保護犬の里親になることもできます。保護犬カフェが近くにない場合は「保護犬 地域名」などで検索し、情報を集めてみましょう。
ただし、高額な寄付金を請求したり収支報告が未公開だったりする団体はビジネス目的で運営している「下請け保護団体」の可能性があるため、注意が必要です。目の前にある命を救いたいと思う気持ちはとても尊いものですが、保護犬を迎える際は悪質なペットビジネスに加担しないよう、十分注意してください。
■併せて読みたい
・保護犬を引き取る条件とは?ハードルが高い里親募集に納得の理由
<参考URL>
https://www.min-petlife.com/233105
保護犬カフェでは様々な種類・年齢の犬が暮らしており、施設を利用するだけで保護活動を支援することができます。里親になりたいと思っている方も、犬と楽しく触れ合いたいと思っている方も、ぜひ保護犬カフェに足を運んでみてくださいね。
なお、里親になるには運営団体の審査に合格する必要がありますが、これは犬にもう二度と悲しい思いをさせないために欠かせないもの。少しでも多くの犬を幸せにするためにも、私たち一人ひとりができることを考えていきましょう。
こちらの記事でもご紹介した通り、保護犬は様々な事情から足腰に不安を抱える子も少なくありません。抗ウイルス・抗菌など、5つの衛生性能を備えた天然木フローリング「Live Natural for Dog」は、保護犬カフェのフローリングとしても最適な床材です。施設のオーナー様や里親になる予定の方々もぜひ導入をご検討ください。
■併せて読みたい
・保護犬カフェって知ってる?保護犬に優しい床を!オススメなフローリングとは
・保護犬シェルターの悩み。犬の散歩ができない。運動不足で足腰が弱る。
石川 美代子
犬の管理栄養士、動物ケアスタッフ、動物医療技術師、犬の美容師(トリマー)。卒業後は動物看護師として動物病院に勤務し看護業務に従事。現在はwebライターとして主にペット関連記事の執筆、ペット用品・記事の監修などを行う。