COLUMN #1
愛犬と住まいのコンサルタント 梅津 基世人 (ウッディープランニング代表)
人気犬種ランキングについては、様々な機関や団体がデータを提供されていますが、一般社団法人ペットフード協会のランキング2020を見ますと、次のような順位になっています。
1位 トイ・プードル
2位 チワワ
3位 柴犬
4位 ミニチュア・ダックスフンド
5位 ポメラニアン
6位 シー・ズー
7位 パピヨン
8位 ヨークシャー・テリア
9位 マルチーズ
10位 ラブラドール・レトリーバー
※一般社団法人ペットフード協会発表 2020年全国犬猫飼育実態調査より引用
※純血種のみ/MIX犬、ハーフ犬などのいわゆるハイブリッド犬は除く
同協会の過去のデータを見ますと、2010年からトイ・プードル、チワワ、柴犬、ミニチュア・ダックスフンドというトップ4犬種が固定化されており、途中順位の入れ替えはありますが、以降現在までこれらの犬種が「不動の地位」を築いています。
現在の日本では、小型犬の飼育が主流となり、また、番犬から愛玩目的の飼育が増えたこともあり、室内飼いの率も8割を超えるまでに至りました。しかし、過去には大型犬がブームになっていた時期もあり、また登録割合が4割を超えるといった圧倒的な人気を誇った犬種もあります。日本における犬種ブームがどのように変遷したのかについて、少し時代をさかのぼって考えてみたいと思います。
■1950年~1960年代の「スピッツブーム」
過去に圧倒的な人気を誇った犬種、それは1950年~1960年代に一世を風靡した「日本スピッツ」です。
1950年代以降、郊外への住宅開発が進み、番犬として犬を飼う家庭が増えました。
真っ白でふわっとした被毛の日本スピッツは、かわいらしいだけでなく、番犬としても良く吠える犬として
一大ブームを巻き起こし、ピーク時には登録頭数の4割を超えるまでになりました。
しかし、その後、高度経済成長期を迎え、求められる犬も外飼いで良く吠える「番犬」から、
「愛玩動物」としての小型室内犬へと変わってきました。
■1960年~1980年代の「マルチーズブーム」
そこで新たなブームをまきおこしたのが、1968年から1984年まで16年間にわたり登録頭数第一位を
続けるという、圧倒的な人気を誇った「マルチーズ」でした。
そしてこの時代を代表する犬種として「ポメラニアン」「ヨークシャー・テリア」が加わり、「御三家」と
呼ばれるようになりました。
当時これらの小型犬は、「お座敷犬」や「抱き犬」と呼ばれ、一大ブームとなったのです。
■1980年代以降の「シベリアン・ハスキー」
その後「御三家」の人気が落ち着くと、1980年代後半から始まったのが「シベリアン・ハスキー」や
「ラブラドール・レトリーバー」などの大型犬ブームでした。
特にシベリアン・ハスキーは、漫画(佐々木倫子作:動物のお医者さん)の影響もあり、町のあちこちで
見かけない日がないほどの大人気犬種となりました。
いわゆる「バブル時代」を迎え、豊かさの象徴として大型犬を飼うことがひとつのステータスと
なった時代ですが、犬の特性(※)を理解せず飼い始め、結果的に飼育放棄が増えたという社会問題も
抱えた時代でした。
(※)シベリアン・ハスキーは、シベリアの極寒の地で橇をひくために作出された犬であり、日本の夏の暑さは不適であり、また日常的に相当量の運動(散歩など)が必要とされるため、飼いきれない飼い主が増加しました。
■2000年代~小型犬ブームの定着
2000年代に入ると、ペット飼育可マンションの増加もあり再び小型犬ブームがやってきました。
これは、国土交通省がマンション標準管理規約コメント(2004年)でペット飼育に関する定めを明記するようにしたことから、今まで不明確だったマンションにおけるペット飼育の有無が明確化され、多くのマンションで小型犬の飼育が可能となったことから、新しく犬を飼う方が増えたことも大きな要因となりました。
このような時代の変遷を経て、現在の小型犬ブームが定着し、番犬から愛玩動物へ、そして今では
一緒に暮らす「家族の一員」として定着してきたのです。
最後に「不動」のTOP4犬種について、主な性格と注意したい病気について簡単に触れておきます。
標準的なサイズ(体高) :24cm~28cm前後
主な性格・特性など :人の思いを受け取るのが上手で頭がよく、飼い主をいつも観察している。
生活上の注意点など :毛は抜けにくいがブラッシング必要。
特に注意すべき疾患など :気管虚脱、膝蓋骨脱臼など。骨折にも注意。
※各々個体差がありますので上記は参考としてご覧ください
標準的なサイズ(体高) :12cm~20cm前後
主な性格・特性など :活発で気が強い。見知らぬ人にはなつきにくいが飼い主には忠実。
生活上の注意点など :目が飛び出ているので目のけがに注意。脚の骨が細く骨折しやすい。
特に注意すべき疾患など :弁膜症、気管虚脱、膝蓋骨脱臼。骨折や目のけがにも注意。
※各々個体差がありますので上記は参考としてご覧ください
標準的なサイズ(体高) :~40cm前後
主な性格・特性など :独立心が強く、飼い主には忠実で強い服従心を持つ。用心深い。抜け毛が多い。
生活上の注意点など :抜け毛が多く毎日のブラッシングが必要。十分な運動量(散歩など)が必要。
特に注意すべき疾患など :皮膚炎(アレルギー性、アトピー性等)、前庭疾患など
※各々個体差がありますので上記は参考としてご覧ください
標準的なサイズ(体高) :30cm~35cm前後
主な性格・特性など :怖いもの知らずで好奇心旺盛、活発。鋭い嗅覚と大きな吠え声。
生活上の注意点など :抜け毛が多い。見知らぬ人に吠えることもある。十分な運動量が必要。
特に注意すべき疾患など :椎間板ヘルニア、膝蓋骨脱臼など
※各々個体差がありますので上記は参考としてご覧ください
愛犬の特性をより理解することで、ぜひ末永く愛犬との暮らしを楽しまれて下さい。