デンマークの家庭では家族一人一人にお気に入りの椅子があり、その椅子が家の中での「居場所」そのものになっていることも多いそうです。だからこそ、デンマーク人は長く人生を共に過ごすパートナーを選ぶように椅子を選びます。住まいの歴史的な成り立ちを日本とヨーロッパで比較した時、日本では、身体を安らげる「居場所」は「床」が担ってきました。畳でも木床でも、床に直接座ったり寝転んだりするのは、今の時代でも日本の暮らしの日常的な風景です。それなら、デンマーク人が家具を選ぶような目線で床材を選んでみてはどうでしょうか。経年で味わいを深める素材、や反りのない安定した品質、肌触りが良い表面仕上げ。直接身体が触れるものだからこそ、細部にまでこだわった日本の床は、住まいにヒュッゲを生み出します。事実、私達の挽き板フローリングを採用頂いた方へのアンケートでは、住んでから思う選んでよかったポイントとして「触感」を挙げられる方が圧倒的に多いのですが、これは日本人ならではの感性と言えるでしょう。居心地のいい住まいは人を幸せにします。そこでは、ハコの良し悪しではなく、住まい手自らが住空間を良くしていこうと意欲を持って行動することが重要となり、住まい手が日々の暮らしで関与できるインテリアに手を掛けていくという行為そのものが人生の幸福度を高めます。そして、家を建てたり、リフォームする際は、ぜひお気に入りの家具を選ぶ目線で床材を選んでみてください。お気に入りの床材は、きっと人生の幸福度を高めてくれると思います。床と幸せの関係 (文/取材・西村)
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